ルマニア戦記 #005 Part B
かなり前に執筆したものだから、メインコンテンツの割にけっこうグダグダなのか?
平行しているオフィシャル・ゾンビやジュゲムより文章の精度が落ちるのかも知れませんが、話が進めば挽回できるものと、たぶん思っています。たぶん…!
#005
Part B
雲ひとつなく晴れ渡る青空に、巨大な人型をしたアーマーがぽっかりとひとつだけ、浮かんでいた――。
遠目にはいっそ止まっているように見えるのだろう。
実際はそれなりにのろのろながらに飛行していたのだが、緊張感のないさまなのは否定しえない。
よっておなじく緊張感のないまったりした空気のコクピットの中で、でかいクマ族が腕組みなんかしながらのんきに目の前の大型モニターとにらめっこしているのだった。
「えっと、ぼくらがこれから乗り込む予定の最新鋭の新造戦艦、いわゆる旗艦、フラッグシップって言うのかな? ずいぶとん大きくて見栄えがいいけど、ほんとにこの設計モデルの図面のとおりにできてるのかね? あとこの船の名前の『T・A』って、これってなんの略だったっけ??」
正面のディスプレイに大写しに映し出されたうわさの戦艦の模型図を半分がた猜疑の眼差しで見上げながら、う~んと太い腕を組み直すクマ族のパイロットだ。
俗にルマニアと称される東大陸の西岸に位置する属領で、秘密裏に建造されているという新型の大規模航空巡洋艦。
そこにはみずからが乗るこの新型機のアーマーの専用ドックが配備され、これまでより充実した整備と補給が可能となる。
一緒に田舎の前線基地を出発した、じぶんよりも若いクマ族のメカニックの受け売りだが、母国の首都とは比べものにもならないひなびた地方のそれよりは、きっと格段に環境が良くなることは間違いがないのだろう。
願わくばそうあってほしいと思うベアランドである。
見渡す限りをワイルドな自然に囲まれて、しばらくはご無沙汰していた無機質でメカニカルな空間が待ち遠しいクマの若きエースは、自然と鼻歌まじりで操縦桿にこの手を伸ばす。画面の片端に映し出したマップをちらりと確認。
コース取りは間違いない。
大陸北西の辺境国家からは、目的地まではおおよそ三日ほどかかるだろう。
もとい厳密には一日とちょっとなのだが、二手に分かれて出発したウルフハウンドたちの別働隊が陸路であることから、必然的にそのようになる。
こちらは機体の性能差により単身空路なのだが、直線で突っ切れるところをわざわざ回り道しての航路、ずっと北側よりのコース取りとなった。
すなわち本作戦による隊長機のミッション――。
しばらくは敵国との国境ギリギリを進む陸路部隊の隠密行動を支援すべく、みずからが囮となってより目立つ高空をのんびりと巡航。この時、なるたけ敵の注意を引きつけつつ、のらりくらりと立ち回ってからただちに戦域を離脱。かつ南下した先の砂漠のオアシス都市国家群の中立地帯で仲間と合流、後に目的地までの道のりを無事に踏破する……!
言えばなるほど単純だが、いざやるのは至難の離れ業だ。
いかにアーマーの性能が良くとも限度はある。
致命打を食らえば、はい、それまで。
そこまで行かなくとも自身が巡洋艦までたどり着くのが困難となり、最悪はどことも知れぬ山奥や砂漠でひとりぼっちで遭難だなんてことにもなりかねないのだから……!
「ふっふ~ん♪ ん……っ」
風に吹かれようがビクともしない鋼鉄の巨大兵器の体内でうずくまるクマはいかにも呑気なさまだが、これがやがて何かを予期したかのごとく正面のディスプレイの図面を消して、その先に見えた青い空にじっと目を凝らす。
基地をたってからかれこれ三時間ほどだったか。
それまで静かだったコクピット内にけたたましい警報が鳴り響いたのは、その直後の事だ。
「おっと、ようやくおいでなすったか……! アーマーの反応が三つ! やっぱりあの厄介なのと、おそらくはその取り巻き連中さんたちかい、ん、でもあっちのあの赤いおデブさんのヤツって、確かこの前シーサーとやり合って……?」
やがてモニターに最大望遠で映し出されるのは、これまでの敵アーマーの中にはおよそ見慣れない機体たちだ。
色からカタチからそれぞれにやたらな特徴があるのを眺めつつ、しきりと合点がいったり首を傾げたりのベアランドだ。
したり顔して舌なめずりしていた。
「まったく、いやはや……! そのそろいもそろってカテゴリー識別不明の機体ってのはさ、つまりはきみらも新型機の運用実験ってヤツをしてるんだろ? ははん、お互い大変だよな! でも機体性能ではあいにくと負けてないんだ、このぼくのランタンは! さあ、この前の続き、楽しい一騎打ちをしようか? そうとも銀色のやたらめったら速いきみは、もうはなからそのつもりなんだろ??」
これまでの相手の戦いぶりから、あちらは機体の性能を試すのが最大の目的なのだと知れていた。
万一にも手傷を負えば、あっさりときびすを返すそのやり口。
ただしその中でも一機だけ。
そう、おそらくはこのリーダー格にあたるのだろう、その隊長機らしきは何故だか執拗にこちらとの正面切っての戦いを挑みかけてきた。
それはまるで強い敵との戦いを望むかのごとく、みずからのライバルを求めるかのごとくにだ。
そのかたくななる相手の胸の内、あまり理解しかねる陽気なクマさんは苦笑いで応じてやるのだ。
「あらら、ほんとにしつこいよな! だったらこっちも本気にならざるおえないよ、後悔しても恨みっこなしだからね!!」
熱き戦いの火ぶたが切って落とされる……!
次回に続く……!
今になって見返したらまさかの四分割!
あと前回のおはなしでめんどいからって割愛wしちゃったあたりにかなり重要な展開があったような?
この序章はグダグダで、つづく中央大陸編ですべてを巻き返したいです(^_^;)
がんば♡




