ルマニア戦記 #003 Part B
まだ古いデザインのままの主役キャラたちですw
その内にデザインが一新されますwww
第一話 「実験機で初出撃!」
#003
Part B
無事に前線基地に帰投したのは、それからおよそ一時間後のことであった。
すっかりと夜が明けて、今やまぶしい朝日に全体が照らされるぼろい格納庫に、目立ったキズのひとつとない新品のままの機体で潜り込む。
ここまでゆっくりと時間をかけて来たから、戦闘で加熱したボディを冷ます必要もないくらいだ。
そうして既に待ち受けていた整備士の若いクマ族に誘導されるがまま、一番デッキのハンガーではなくて、その手前の地面から一段高いベッドに仰向けで機体を寝かしつける。
しっかりと大型の機体を固定。
やがてコクピットのハッチを開くとそこからのっそりと身体を出して、大きく伸びをしてからみずからの機体の上を小走りに地面へと降り立った。
見かけやけにでかい図体が意外と機敏なさまで、痩せたクマ族の青年の前にすんなりとつける。
まだ若い整備士、リドルは敬礼してこれを迎えた。
軽く敬礼して返すベアランドは、背後のみずからの相棒にこの目線を向けながらに言う。
「おやおや、こんなふうにわざわざおねんねさせないといけないのかい? このぼくの土手カボチャくんは?」
「ハッ! ……ああ、あいにくとこちらには専用のアーマーハンガーがありませんので、この状態でないとこちらでの整備が……! 将来的にこれが正式配属されるという新型戦艦には、それ用の専用デッキがあると思われますので、それまではなにとぞ。なにはともあれ、無事のご帰還、まことにおめでとうございます!!」
「まあ、相手が相手だったからね? 正直、肩慣らしにもならなかったけど、無理矢理にでも相手をしてもらったよw」
「新型機、このバンブギンの乗り心地はどうでありましたか?」
「はは、ああ、もちろん、この整備士くんの腕がいいから抜群だったよ! 各武の固定装備も問題なく使えたし? すごいよな、特に胸部に搭載した不可視シールド、バリアだっけ?? こんなにデカいだけあって載っけてるエンジンのパワーがハンパじゃないもんな!!」
「あはは、いえ正直、装備が最新型過ぎてこちらでは手に余るくらいなのですが……! 実戦データはこちらで採取してルマニア本国への解析に回します。なにかこれと要望がありましたら……」
「ああ、うん。まあそうだな、装備に実体弾の兵装がないのが、ちょっと気に掛かるかな~? う~ん、ここで言ってもどうにもしようがないし、見るからにお金がかかる装備をてんこ盛りにしてもらってわがままかもしれないけどさ。見た目が派手なビーム兵器はおどしにも使えるけど、それだけだといざそっち向きの対策取られたって時に面倒だろう??」
じぶんよりも一回りも二回りもでかいクマ族の男の率直な感想に、これを真顔で聞く若いクマ族の機械工は難しい顔ではたと思案する。
「はあ……! つまりは敵側もこちらと同様のシールドなどを装備して、でありますか? このバンブギンと同等のジェネレーターやシールド発生器はそうそう作れそうにありませんが、戦艦クラスならばままありえることなのでしょうか? じぶんにはうまくお答えができませんが……」
「巡洋艦のシールドも楽にぶち抜けるくらいの出力設計ではあるんだよね? いや、いいんだ。いずれ必要に応じてだよ♡ それはそうと、このぼくのもうひとりの相棒、あのおっかないオオカミくんはどうしてるのかな? ちょっと言いたいことがあるんだけど……」
「はい? ウルフハウンド少尉どのでありますか? それでしたら……」
メカニックの視線にならって背後を振り返ったその先に、通常のアーマーのハンガー・デッキにしっかりと収まった灰色の新型機と、その足下に見慣れたオオカミ族のパイロットの姿を見て取るクマだ。
その場から声を張って問いかける。
「ああ、いたいた! あれ、なんだいすっかりおとなしくなって、せっかくの初陣で戦果も上げたんだから、もっとご機嫌になっていいんじゃないかい?」
「うるせえな……! 帰ってくなりやかましいしかめっツラのオヤジのせいで、そんな気分すっかり吹き飛んじまったよ。たかが場末の前線基地の整備士のぶんざいで、ごちゃごちゃとふざけた文句を垂れてきやがって……」
すると渋いツラのオオカミは、なおのこと不機嫌面でそっぽを向く始末だ。
「あれれ、なんだい、もうあのブルドックのおやじさんにしぼられちゃったのかい、さてはこってりと? 旧型とは言え三機もアーマー撃破したのに! でもなるほどねぇ~、みんな思うことはおんなじなんだなあ……!!」
「うるせえよ! そう言うてめえはただのんびりと宙に浮いてただけじゃねえか! そんなヤツに言われることなんざ、これっぱかしもありやしねえっ!!」
「ふふん、仕事はちゃんとしたよ♡ あいにくアーマーじゃないけど、高速機動型フライヤー、まとめて五機撃墜♪」
「けっ、敵さんのアーマーを撃破してこそのアーマー乗りだろうが! それで援護しただなんてなそのでかい口が裂けても言うんじゃねえぞっ、あとくだらねえ文句や冷やかしもだっ!!」
「まあ、つまりはひとりで戦場を突っ走って、先行しすぎってことだよね? いやはやほんとうのことだと思うけどもなあ?? あれじゃはなから援護のしようがないし、いざ相手に待ち伏せとかされちゃったら……ああ、ちょっとは聞きなよ! 行っちゃった」
さては同様のこと、うるさがたのブルドックのオヤジに耳にタコができるほどに言われていたのだろう。
そっぽを向いたままどこぞかへとさっさと早足で歩いていく相棒の背中、やれやれと肩をすくめてこれを見送る同僚のクマだ。
おなじくどっちらけた表情の若い弟子が声をひそめる。
「はい。さきほどうちの師匠からこっぴどく言われてまして、おかげでひどい言い合いになってましたから。どちらもカンカンでした……!」
「あらら。そりゃこっちまで巻き添え食らわないように気をつけないとね! うん、それじゃぼくはこれからひとっ風呂浴びてくるから、後はコイツのことよろしく頼むよ。ひとりで見るのかい?」
いたずらっぽく目を見張らせるパイロットの兄貴に、弟分のクマくんははっきりとした物言いで返した。
「ハッ! おかげさまで目立った外装の破損もありませんので! 何よりこのバンブギンのメンテナンスはこの自分に一任されております!!」
「さすがは愛弟子くん♡ でもあんまりムリはするんじゃないよ? バンブギン……か!」
はじめしたり顔して了解しながら、その後に何事か考え込む大柄なクマ族は、やがてまたしきりとしたり顔する。
その横できょとんとしたさまの整備士くんには笑って言うのだった。
「?」
「ああ、決めたよ。コイツの呼び方……! 本部のお偉いさんがたには悪いけど、もっといい名前を思いついちゃったから?」
なおのこときょとんとしたさまの若いクマ族の少年に、おなじく若いクマ族の青年はなおさら明るく言い放つ。
「ランタン! ああ、そうとも、土手カボチャじゃあんまりだもんな? ね、どうだい、コイツにピッタリの名前だろう??」
「ランタン……提灯(ちょうちん)でありますか? ああ、なるほど……!」
言われてすぐさまカボチャの提灯を頭に思い浮かべて、まさしくぴったりだと大いに納得する整備士だ。
パイロットは大きくウィンクしてうなずくのだった。
「じゃ、そういうことで、ね♡ ということでお前もこれからよろしくな! ランタン!!」
果たしてこの後の歴史にその名を残すであろう、でかグマとお化けカボチャのコンビが、今ここにめでたく誕生したのであった……!!
一番力を入れているはずのメインコンテンツが、一番の遅れを取りつつあるのは何故なのか?
ガンダム(の二次創作)とおふざけのエロ?コンテンツにはかなわないんですかね(^_^;)




