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ルマニア戦記 #002

オリジナルノベルの二話目の投稿です(^o^)

挿し絵に出てくるキャラやメカはかなりブサイクなのですが、現行の最新版のキャラとは異なる、昔のイメージデザインによるものですので、あしからず♡ じきに新しいのがひょっこりと顔を出すはずですw

第一話 「実験機で初出撃!」


#002


 かつての建国からこれまで長い歴史があり、今では()()()()()()()()()()国有面積の広さから、一般に『ルマニア』と呼ばれる東の大陸。


 その内陸中央に王都を構える、若いパイロット達が生まれ育った巨大な王権国家からすれば、影では()()とも呼ばれる北西の辺境に位置する小国は、それはもはやしてかなりの片田舎(かたいなか)に違いなかった。

 おまけにその最前線の基地の外れも外れに位置するオンボロな予備格納庫は、よそから見たらまさしく廃墟も同然だ。


 しかしながら、今やもろもろの都合でこの屋上階に寝泊(ねと)まりしている、すっかり()()()()()()()()()()()()

 その彼等は、更衣室を出た廊下の突き当たり、そこから壁伝いに続く長い階段をひたすらまっすぐに降りて行く。

 そうしてまた出くわした突き当たりをいつもなら右手の屋内にある、アーマーのハンガーデッキに向かうはずが、今日ばかりは()()()()――。


 屋外へとつながるドアのノブを掴んで、おもむろにこれをひねるのだ。


 ()()()ッ……!


 サビついたドアがきしむ音を立てて、そこから外界へと一歩踏み出せば、目の前でうっそうとしげる林の向こうに、朝日が明るく昇るのが見て取れた。

 森の向こうに(ひら)けた海岸線からかすかに吹き寄せる潮風を鼻の頭に感じて、くすぐったく思う大柄なクマ族のエース・パイロットだ。

 その場で大きく深呼吸すると、いつもの呑気(のんき)な口ぶりする。


「んんっ……はあ、()()()だな! いつぞやみたいな()()()()()()()()ももうないしw? 新型機で出撃するにはうってつけのお日柄(ひがら)だよ。なんだか今日はいいことありそうだ!」


「ケッ! なにを悠長(ゆうちょう)なことを言ってやがるんだよ? 本来なら夜中にこっそりやってることを()()()()やらかそうってんだから、()()()のほうが付きものだろう! おまけにこんな快晴じゃ、いたるところ()()()()()()()()()をわざわざ()(ぱだか)で敵さんにお披露目(ひろめ)してやるようなもんだぜっ……ま、悪い気はしねえがよ? たっぷりとわからせてやれるんだ、このオレさまの(うで)(ぷし)と新型機の実力を!!」


 背後に目をやるとただちに不機嫌面で見上げてくるオオカミの同僚の毒づきに、もう慣れっこの相棒はしたり顔してうなずく。


「はいはい! それじゃまずはご対面だよな? これまで長らく待ちわびた、我らが愛しの新型機ちゃんたちと♡ 確か格納庫の前に集合だから、あっちに行けばいいのかな? ん、おっと、あそこにいるのって……!」


 たとえ基地の外れでも基本、敵国がある西側向きに発進路が造られるのは、どの格納庫でも同じだ。

 南の裏口から出て来た都合、回れ右して大股で高い外壁沿いに進んで行く。

 するとその先のまだ(よい)の暗さが残る西の空を背景にして、そこに忽然(こつぜん)()()()()()()が待ち構えるのがわかる。


 見知った顔でまだ表情に少なからぬ幼さが残る若者だ。

 見るから華奢(きゃしゃ)でやせっぽちでも大きく胸を張ったキリッとした立ち姿の敬礼で、みずからの上官である二人のパイロットらを出迎えた。

 きびきびとした歯切れのいい口調で朝の冷えた空気を(ふる)わせる。


「ハッ! おはようございますっ、ベアランド准尉(じゅんい)どの、ならびにウルフハウンド准尉どの! お待ちしておりました!! おふたりの機体はすでにどちらも準備が整っております、どうぞこちらへ……あっ」


 じぶんと同じ大型のクマ族とは言いながら、ずいぶんと頼りない見てくれの()せた少年機械工兵を見下ろす、とかくマッチョなでかグマのパイロットだ。

 こちらへ赴任(ふにん)してからかれこれ半年あまり、もう慣れ親しんだ(なか)でもあり、とかく親しげな笑みでこれに返す。


「いいからいいから、そんな固くなりなさんな、リドル! お迎えまことにご苦労さん。昨日は一晩中大変だったんだろう、おやっさんと? だったらもっと楽にしてなよ、ここからはこのぼくたちが気を張る番なんだから! ……あれ、どうしたの?」


「あっ、てなんだよ? 機械小僧?? まさか何かしら気になることがあるってのか、本国から来たオレらのアーマーによ。見た目が頼りなくてもいざ機械のことにかけちゃこっちはとっくに信用してるんだ、今さらヘタな隠し事なんざ言いっこなしだぜ!」


 後ろから長い鼻面の顔を突き出すオオカミもやや不審げに問うのに、ちょっと慌てたそぶりの男子は、改めてふたりのバイロットに対して最敬礼する。

挿絵(By みてみん)

「いえっ、失礼しました! すっかり()()しておりましたっ、申し訳ありません! 本日付けでどちらも()()()()()されておりますので、正しくは、()()()()()()()()()、ならびに()()()()()()()()()()()、でありました!! 昇級、そして新型機の到着と(あわ)せてまことにおめでとうございます!」


「……え、そうだったっけ? ふ~ん、まあ別にいいよ、そんなの。あんまり気にしたことないし♡ 今のところ隊員がふたりしかいないへっぽこ部隊で、すっかりお荷物扱いされてるぼくらだもんね!」


「まあな、オレもどうでも構わねえよ、お飾りみたいな形式張った呼び名なんてな。それよか肝心のアーマーはしっかり組み上がっているんだよな?」


 気を張ったセリフをすっかり肩ですかされてしまう。

 これには思わず苦笑いになるメカニックだ。

 みずからも固かった身体の力を抜いて、落ち着いた年相応(としそうおう)の口ぶりとなる。


「あははっ、はい、それはもちろん! 最終点検は親方が了解済みでありますので。どちらもすぐに起動できます。早くご覧に入れたいので、どうぞこちらへ!」


 ふたりのパイロットを視線で背後へと招いてみずからは早足で駆けっていくのに、一瞬互いの目を見合わせて建物の真正面へと向き直る新米の士官たちだ。

 荒れ放題の滑走路を大股で踏みならしては西の空をバックに、いつもなら大きく開け放たれた間口(まぐち)のはずが、今だけはサビだらけのシャッターで閉ざされたオンボロ格納庫と対峙(たいじ)する。


「う~ん、見れば見るほどオンボロだよな? こんなボロっちい格納庫にピカピカの新型のアーマーが配備されてるだなんて、まさか神様だって思いも寄らないってもんだよ!」


「は、どうだかな? わりかし敵さんにも情報は筒抜(つつぬ)けだったりすんじゃねえのか?? いつぞやの()()()()(おさ)まって、てっきりそれまで無人化してた対岸の前線基地の取り合いになるかと思いきや、あっちはそんなの目もくれずにこっちに攻め込んできてるんだろ? ろくな補給路の確保もないままによ。こっちのアーマー隊が手薄なのもいいこと、やつらときたら少数部隊をひっきりなしに出したり引っ込めたりして、いざこの基地を攻め落とすってほどでもないんだぜっ……やる気があるやらねえのやら!」


 どこかそっぽを向きながらの独り言じみたオオカミ族のウルフハウンドの物言いに、ちらりと視線を下ろす大柄なクマ族のベアランドは、そこで少しだけ思案顔(しあんがお)して肩をすくめる。


「つまりはこっちの出方(でかた)を見ているってのかい? なるほどね♡ わからなくはないけど、あっちにもあちらさんなりの都合があるのかも知れないよな? はっはあ、そうか、だったらなおさら()()()()してきちゃったよ……!!」


「はっ??」


 怪訝(けげん)な視線で見上げてくるしかめ面に、また肩をすくめる脳天気なクマ族は、意味深な笑みを浮かべるとおまけいたずらっぽく()()()と片目をつむったりもする。

 そうして視線でみずからの正面、巨大な廃屋と化した予備倉庫を示すのだった。

 若い機械整備士の背中越しに、今しも大きな音を立ててシャッターが上がるのをそろって注目する。


 西の空はまだほんのりとしか明るくなかったが、屋内の照明が煌煌(こうこう)とたかれていたから見晴らしは良かった。

 奥に大きな人型をしたシルエットがあるのが気配としてわかるが、その手前、まずはやけに小柄な人影を見つけて、そちらに目がいってしまうふたりの新米パイロットたちだ。


「おっ、()()()()()……! 相変わらずのしかめ(つら)だな! あれが()()なんだっけ? なんか怒ってるみたいに見えるけど、いやいや、内心は喜んでいるんだよな??」


「オレが知るかよ! フン、土台、あんなブサイクなむくれっ面じゃ判別するのはハナから無理だろ? とりあえず怒られるような筋合(すじあ)いはないぜ、今んとこはよ」


 すっかりどっちらけたさまで茶化すクマに、白け顔のオオカミも苦い口ぶりで返すばかりだ。

 するとそれを背中で聞いていた若い弟子のメカニックが、この親方にビシッと敬礼しながらも小声で返してきた。


「もちろん、怒ってません! きっと親方としても感慨がひとしおなんですよ……昨日は徹夜だったし! あと、あらかじめ言っておきますが、壊さないでくださいね? いきなりこの初陣(ういじん)で無茶とか、おふたりとも??」


 どこかこわごわとした口ぶりで視線をそろりと巡らせてくる、まだ若いながらも有能な整備士くんだ。

 だがするとなおさら白けたさまのふたりのパイロットは、どうにも微妙な反応で視線をあちこちにやるばかりなのだが……!

 あんまり思わしくない(そら)とぼけた顔つきそぶりに、付き合いまだ短いながらも相手の性格性質だとかを骨身(ほねみ)()みて思い知らされていたリドルと呼ばれるクマ族は、げんなりしたさまで肩を落とすのだった。


「はあっ、お願いですからね? 今のこちらの整備状況じゃ正直、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……! ちなみにそれに関しましては()()()()()()()()()()()()()()()()!!」


「そいつはまた……! ほんと、ワクワクが止まらないよな?」


「たくっ、根性で直せよ! ん、おい、あのおやっさん、よもやこっちの声が聞こえてやがるのか? えらい勢いで(にら)んでやがるぜ!!」

挿絵(By みてみん)

 あいにくまだシャッターが上がりきらないから、内側の全体像がどんなものだかわからない。

 しかしながらガタガタとした騒音混じりの中にも、この真ん中に()()と構えて仁王立ちした()()()()()()()()()だ。


 そのもういい年齢をした熟練の機械工がしゃがれた渋い声を張り上げる。

 おっかない顔つきもさることながら、見かけが小さかろうと腹から絞り出した一喝(いっかつ)で、相手を圧倒するだけの()()()()()()みたいなものがあっただろう。

 この前線基地でも指折りの手練(てだ)れにして、過去には大陸大海を(また)に掛けた数々の伝説を誇るという()()()()()()()の第一声は、やはり怒っているようなそれはけたたましい()()()なのだった。


「おおい、やいこらっ、このボンクラども! シャキッとしやがれ!! おめえらが待ちに待った新鋭機のお目見えだろうがっ、そんなふぬけたツラで(おが)めるようなシロモノじゃありゃしねえぞ!!」


 朝っぱらから耳に()()()()と響くお(しか)りに思わず苦笑いのクマだ。

 隣のオオカミは小さく舌打ちしている。


「あらら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()……!」


 たとえ相手が基地の最高責任者であってもみずからのとぼけたスタンスを崩すことがない天然キャラのクマ助ながら、その背後にあった()()()()()が全貌をあらわにするにつれて有無もなくこの視線がそちらへと吸い寄せられる。

 いつもの軽口を叩きかけたはずが、思わず()()()と息ごと飲み込んでしまった。


「こいつはまた、()()()()()()()()()()()()! えらい迫力とボリュームがあるように見えるけど、ちゃんと動くのかね? あとそれに……」


 三人そろって頭上を見上げて、いざ目にしたものの異様なまでの出で立ちに言葉を無くしてしまう。

 はじめの想像とは似ても似つかないくらいに、およそこれまでの既存のアーマーとはまるで()()の見てくれだ。


 左右に二体並んだ大型ロボの、特に()()()()()()()()()()()……!


 ある程度のあらましはあらかじめに聞かされていたから、つまりはこれがじぶんの乗機(じょうき)なのだろうと判断するクマ、ベアランドはちょっと言葉に詰まりながらに思ったことをまんま天然で口走った。


「う~ん、なんかさ、えらくブサイクだよな? もうちょっとこう、カッコ良くは出来なかったのかね? ものすごい悪者みたいな面構(つらがま)えなんだけど、このぼくの新型のアーマーちゃんてば??」


 半分がた(なげ)きじみた率直な感想に、すぐ横合いからはただちに舌打ち混じりの()()()()が入った。


「ブサイクも何もてめえにそっくりだろうが! いいじゃねえか、あのくらい不気味な面構えのほうが相手に対して威嚇(いかく)できるし、新開発の新型だって存分(ぞんぶん)にアピールできるぜ? いいか悪いかは別としてよ」


「ははっ、はじめは従来機とおなじ犬型のヘッドだったのらしいのですが、もろもろの都合でクマ型(?)のアタマに設計し直したらしいです。もちろん実験機ですから後後(のちのち)においてはどうなるかわかりませんが……」


 若い整備士の()(つくろ)うような言葉に、おまけ前からはしわがれ声がぶっちゃけた私見を投じてくれた。

挿絵(By みてみん)

※旧デザインの主役のクマキャラとブサイクロボの図です。後にリニューアルしたものがお目見えします♡


「ふん、いっそおめえさんをモデルにしたんじゃねえのか? さほどブサイクってこともあるまいよ、ビーグルのヘッドにゃ乗り切らない機能が満載だから、あんなへちゃむくれたツラになるんだが、むしろ愛着(あいちゃく)()くってもんだろう!」


「んんっ……ぼくってばあんなにブサイクかい??」


「てめえのツラ鏡で見たことねえのかよ? はんっ、それよかこのオレ様の()()()()はいい面構えしてるよな! 量産型のビーグルなんぞとは比べものにならないってぐらいにいかしたスタイルしてやがるぜ!!」


 肩を落とすクマにはいっそ冷たい口調で吐き捨てるオオカミの同僚だ。

 そうしてみずからが搭乗するもう一体のロボットをしげしげと見上げながら、いかにも納得したさまで言うのだった。


 するとその横合いからまた若いクマ族の整備士がやや不思議そうな顔つきでウルフハウンドに聞き返す。


()()()()? この『ハウンド』のことでありますか?? ああ、はい、確かに現行の主力量産機の()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ではありますが……!」


「いいんだよ! 猟犬(りょうけん)だなんてやぼったい名前で呼ぶにはもったいねえ機体だろ? コイツは今日から晴れてこのオレ様の相棒、その名も『ギャングスター』に決定だ!!」


「は、はあっ……」


 ちょっと戸惑った顔のメカニックに、おんなじクマ族のパイロットが苦めの笑いでウィンクする。


「ま、いいんじゃないのかい? なんかカッコいいし♡ そうか、だったらぼくは何て呼べばいいのかな、()()()()()()()()()()()()……!」


「あん、名前ならちゃんとあるだろう? その、ほれ、なんつったか??」


 小さな歩幅で歩み寄るブルドックのオヤジがいかめしいツラを傾げさせるのに、弟子の()せっぽちがただちに補足する。


「はっ、こちらの機体の正式名は『バンブギン』であります! まあ、おそらくは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、なのでしょうか??」


 大柄なボディの特に前にも左右にも突きだしたそれは特徴的な土手(どて)(ぱら)を指しながら言葉には、さも納得顔のでかいクマ族だ。


「ああ、つまりは〝カボチャのお化け〟なのかい?? なるほどね、要はパンプキンからもじったんだろうけど、確かにそんなふうに見えなくもないし! でもなんか、かわいげがないなぁ……」


 やはり冴えない様で見上げていたら、いきなりハンガーの奥のあたりでやかましい()()()が鳴り出した。

 同時に黄色いライトもそこかしこで点滅し出す。


 さっさと出撃しろという本部からの通達なのだと察して、それぞれみずからの足を踏み出すパイロットたちだ。

 かくして感動のご対面はごく短い内に終わり、そこから目の回るようなスピードで出撃となる。


         ※次回に続く…!



もうずっと前の作品ですのでかなりアレな部分があるのですが、すっかり更新が止まってしまったお気に入りのオリジナルノベルがまた復活するきっかけとなることを願っています。

お好きな方いたらどうか応援よろしくお願いします!

今はすっかりガンダムの二次創作にはまっているおじさんでした(^o^)

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