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ルマニア戦記 #006 Part B

 挿し絵がひどいですが、もはやどうにもこうにも…w

 しゃあない、さっさと進めて行きます!

 ちなみに本来はまだ先があるのですが、もろもろの都合でキャンセル、キャラの出番もお預けwww

 あのペンギンさんちゃんと出てこれるのかな?

 Part2


 いざ大陸の西岸目指してベアランドたちがバタつきはじめた頃と、ほぼ同時刻――。

 ところ変わって、こちらは大陸西岸域に位置する某地方国家の大きな港街(みなとまち)だ。

 巨大な港湾施設がコンクリで固められた岸壁にそびえる。

 いわゆる大型の大規模造船所施設なのだが、高層ビルが縦にそのまますっぽり入るほどの直径の円筒を横に()えたカタチの建造物は、およそただごとではない異様な見てくれをしていた。

 事実、それを裏付けるかのように、この巨大な円筒の暗がりには何やら()()()()()がそびえ、そこに無言で鎮座(ちんざ)する。

 ただし果たしてそれが大陸中央に位置する軍事大国により、密かに建造されていた最新型の軍艦だとは、まだ一般には知る者はいないはずだ。

 そんな静けさに満ちたドックに、突如としてかまびすしい警報がわんわんと鳴り響く。

 半円型の巨大ドーム内の照明があますところなく灯され、闇に座していた()()()()のそれは巨大なる勇姿を浮かび上がらせた。

挿絵(By みてみん)

 すでに海面からはこの巨大な船体を浮かせた、航空航行をスタンバイさせていた戦闘待機状態の戦艦の最上部――。

 メインブリッジとなる第一艦橋・中央戦術作戦指揮所の中に、あるひとりのブリッジクルーの声が響いた。


「艦長! グレッカ港湾都市中央行政府より、本艦へのただちの出港、港および都市部より離れた海上への待避要請が入っております! 三度目です!!」


 このブリッジ中央に据えられた、大型の艦長席に腰を()える人物へ向けて緊迫した物言いに、対するこの艦長とおぼしき年配の男はただ無言でこのアゴをうなずかせる。

 どこか物思いにふけるような厳しい眼差しで、ただまっすぐに先を見据えるベテランの軍人なのだが、こちらはまだ若い見た目の通信士の犬族の男は、ひどく困惑したさまで続ける。


「……たく、これでもう三度目ですよ? こっちはまだ出来たて()()()()でろくな試験飛行もしちゃいないのに、冷たいったらありゃしませんぜ! おまけに()()()()()()()()()だっていやしないのに、丸裸(まるはだか)で戦場に出撃しろだなんてな、あっちの守備隊のアーマーを回すくらいの機転を利かせろってもんでしょうに? そう言ってやりましょうか??」


「やめなさいよ、ビグルス曹長(そうちょう)……!」


 おなじく犬族の通信士で若い女性のクルーにたしなめられるが、これと隣り合わせで座る男は嫌気のさした顔をこの左隣に向けて肩をすくめさせる。

 ブリッジ内は緊迫した空気が漂うが、それまで無言だった初老の艦長は、険しい表情ながらにやがては重苦しい言葉を発した。


「…………いや、言ったところでおよそ無駄だろう」


 この(とが)った鼻先から少しだけ息を吐いて、真顔で続けるキャプテンは暗い表情にも軍人としての気概がうかがえたか。眼差しは鋭い。


「あちらはあちらでまた都合がある。大国の横暴で港を長らくいいように占領されてだ、あげく戦火(せんか)にまみれるだなどという馬鹿を見るようなことは間違っても()けたい、しごくまっとうな意見だろう。それがあちらの本音だ。こちらもそう文句を言えた義理ではないものだしな……!」

挿絵(By みてみん)

 一呼吸置いて、それからまた重たい口調のセリフを続ける。

 その種族特有のことさらに大きな尾がこの背中でピンとそり立つ。


「やむを得まい。港湾には了解の(むね)を伝えておけ。こちらはただちに発進、街には戦火の及ばない沖合の洋上へと艦を遠ざけると……! メインエンジン、第一、第二、各自予備運転から戦闘出力運転(モード)に切り替え! (サブ)エンジンも順次にフルモードに移行、全力をもって艦の運航に当たれ! これは試験運転ではない!! 全艦に通達、本艦はこれより出航、ただちに第一次戦闘状態に突入する!!」


 号令を立て続けに発する壮年のスカンク族にあたりの空気が一変する。

 艦長席の正面に据えられたメインモニターのスピーカー越し、動力機関ブロックや、その他の部署からの了解の返答が幾重(いくえ)にもこだました。

 これに()()()()するみたいに全身を小刻みに揺らす犬族の通信士が、それでもまだどこかおどけたような調子で応答する。


「了解! 後に合流する予定のベアランド隊にも打電を打ちます。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()っと! てか、ほんとうに間に合うんですかね? (やっこ)さんたち??」


「……まあ、話では大した男なのらしいぞ? ちょっとやそっとの無茶なら平気でこなすような。そのための新型機でもあるのだし、期待だけはしておいてやろう……」


 また肩をすくめさせる通信士から目を離して、正面に向き直る艦長は真顔でさらなる号令を発した。


()()()()()()()()()()()っ! じぶんは本艦艦長、()()()()()()()である。諸君らも知っての通り、ただ今はかなり困難な局面ではあるが、優秀なる諸君らの尽力(じんりょく)(もと)、本艦は無事にこの危機を乗り越えることを信じて疑わない。なればこの新型艦のちから、存分に見せつけてやろうぞ!!」


 軍では有名なベテランの演説と鼓舞(こぶ)に、ただちに複数のスピーカーから気勢がどっとばかりにあふれ出す。

 これにより艦内の士気が上がるのを確認するスカンク族の艦長、バルゼア・ンクス少将はうむと小さくうなずいて、最後の号令を発令した。


「これより全艦、第一次戦闘態勢! 微速前進、ドックを離脱の後、面舵(おもかじ)一杯! ただちにメインエンジンを出力最大のこと!! 総員対ショック用意、公海上まで一気に突っ走れっ! さあ、晴れての初陣(ういじん)だ、思う存分に暴れてやるがいい!!」


 頭上のスピーカーからまた、おおお!とけたたましい気勢が上がる。

 周りを見回せば、それぞれに緊迫した面持ちのクルーたちも了解してこの頭をうなずかせる。やはり緊張しているのか言葉が出て来なかったが、まだ若い士官候補たちを鼓舞するべく胸を張って仁王立ちする艦長は、ひときわに高く喉仏(のどぼとけ)を震わせる。


「ルマニア軍最新鋭艦、()()()()()()()のお披露目だ。今こそ世界にこの勇姿を見せつけてやろうぞ! 航空重巡洋艦『トライ・アゲイン』発進!!」


          ※次回に続く…!

次のお話くらいでとりあえず序章が終わって、新章に突入する予定です。

いきなりおかしなキャラたちが出始めて、さらに勢いかつはずなので乞うご期待!!

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