ルマニア戦記 #005 Part D
ようやく派手なバトルかと思いきや、あいにくのお茶濁し?
序章はキャラクター紹介ののろのろ運転で終わるのかw
この後の新章ではクセのある新キャラがてんこ盛りなのですが、いましばらくお待ちください(^o^)
#005
Part D
ビッ、ビピッ、ピィイイイイイーーー!
それまでの穏やかな静けさを打ち破る、耳に障る甲高いビープ音!
警報とほぼ同時のタイミングでメインモニターの奥に控える銀色の機体が突如、真正面から急接近してくる!!
「そうらおいでなすった! やっぱりキミかい!!」
零時の方角に三機捉えた敵影の中で、やはりはじめに動いたのはこれまでで一番見慣れた、例の渋い銀灰色の機体だ。
その見かけ大型の戦闘機が、爆音もろともしたギリギリの過ぎ去り際にあろうことか直立反転……!?
おまけ目にもとまらぬ速さで機体を変形、人型になるやいきなりこの右手に構えたマシンガンの銃口を突きつけてくる!!
いやはやついさっきまでは見てくれただの戦闘機、ジェットフライヤーだったはずだろうものがだ?
それがまるで手品のような抜く手も見せぬ素早さで人型のロボット、ギガ・アーマーへと変身変型していることに、内心で舌を巻くベアランドだ。
「ほんとに器用だよな! 狙いもやたら正確だし! あんな傍から見たらビックリするくらいに単純な変型機構しといて、でもそれだけにまったくスキを見せずにバンバン早変わりしてるもんな!!」
大型ロボット用にあつらわれた、これまた大型のハンドガンの銃弾を機体を大きく背後にのけ反らせてギリギリでかわす。
機体の前面に常時、不可視の電磁シールドを展開してはいても、こうも至近距離で実体弾を何発も食らっては、およそ無傷では済まされないだろう。
機体のすべてをぐるりと保護できているわけでもない。
この装備自体がまだ調整中の実験開発段階であり、熱粒子の半実体弾、いわゆるビームやレーザーのような光学兵器ならかなりの相殺効果を期待できる。
だがその反面、旧来の武装にはこれまでの経験上、ほぼフルパワーでオンにしなければしのぎきれないことがわかっていた。
基本、火器管制と機体制御をひとりでこなさなければならないこの特殊な大型機では、スイッチの切り返しはなかなかにホネだ。
アーマのパイロットシステムの補助もまだ万全とまではいかない都合。
「こうやって守りにばっかりちからを割いていたら、いざ攻撃や高速機動しようって時にパワー不足になっちゃうもんね? しっかしほんとにしつこいよな!!」
続けて二撃、三撃と機銃掃射をぶちかましてくる相手に舌打ちして応戦!
こちらも至近距離からこの相手目掛けて腹部のカノンを二発、三発とお見舞いする!!
続けざまに複数ある中から一番火力のでかい正面の左右一門ずつのメインを発砲!
この際、右手で引き金を引く寸前に左手でシールド制御のスイッチをoffにする。
正面に強固な干渉フィールドを張ったままでは、いざ発射したビームの威力や精度、ひいては射程までを狂わせかねない。
基本は機体に内蔵の高出力エンジンでこの全てを切り盛りしている都合、このほうがより攻撃系の兵装の威力を発揮できた。
ちなみに最初のがいわゆる目くらましで、二撃目が本命だ。
相手はシールドらしきを装備していないようだから当たればそれなり期待できたが、あいにくあっさりとこれを回避!
またしてもはじめの戦闘機形態となって上空へと逃げられてしまう。
ただの一瞬にしてこの射程圏外だ。
これに忌々しげに歯がみするでかいクマのパイロット!
「ああっ、もう、ほんとにめんどくさいな! キミってば!!」
対してこれを背後、眼下の緑の海の中に見据えるキツネ族の優男の隊長どのは、かすかにこの喉仏を震わせてしごく納得した物の言いようだ。
「ふっ、かくも鈍重な見てくれの機体で、よくもこのゼロシキの動きに付いてくる……! ならばその貴様は、よほど名のあるパイロットなのだろうな!?」
この相手の顔を見てみたいものだと内心でひとしきり感心しながら、手元のスロットル・レバーを一気に己側へと傾けた。
ただちに機首を真下へと反転させた戦闘機が、重力に飲まれるままに急降下、ブサイクな大型ロボめがけてダイブする!
「あっぶないな! セオリー知らないのか!! でもそれでいきなり変型だなんてできやしないんだろっ? 激しいGがかかった状態でそんなことしたら機体バラバラの自殺行為だもんなっ!! イカれてるっ、くうぅっ……きみって、ほんとにイカれてるよなっ!?」
目を見開いて迎え撃つベアランドは、憎まれ口叩きながらも冷静にターゲットスコープの狙いを絞る。しかしながらあっという間に過ぎ去っていく敵影にまたしても舌を巻くのだ。予想以上に手強い。
いっそ地面目掛けて突撃するくらいの勢いで飛び去った銀色の怪鳥は、眼下に広がる緑一色の絨毯をギリギリにかすめながら旋回急上昇!
挙げ句の果てにはこちらへと機銃掃射してきた。
呆れた攻守一体の神業テクニックの連発連打だ。
ぬかりがないこと戦闘機からロボットへ切り替えのタイミングがすさまじく絶妙らしく、一秒とかからないように見える。無論、逆もまたしかり。
それが機体にかかる重力や大気との摩擦、外部の気流なども読んだ上での手品か奇術じみた機体さばきだと理解するクマは、これがゲームだったらさっさと白旗上げてやりたい気分だった。
「ははあっ、凄いプレッシャーだよ! キミってば正真正銘のエースパイロットなんだ!! あえて一騎打ちを挑んでくるのもそうだけど、そっちのお仲間さんたちもまるで動じていないもんな? ちょっと視界にチラチラするのが気になるっちゃあ、気になるけど………ん、待てよ………??」
所詮は多勢に無勢だろう。
強敵相手に無理に応戦するよりも、どうにかお茶を濁してこの場を立ち去れないものかとこの頭を巡らして、さっきからモニターの端っこに消えたり映ったりしている敵の残りの二機に意識が向く――。
あちらは参戦するつもりはまるでないものらしいが?
いいや、だったらこれをあえて巻き込むのもひとつの手かと、あるアイデアを頭の中の計算機がはじきだす。
悪知恵ひらめいた悪童みたいな目付きで舌を見せるクマ族は、ただちに操縦桿に全身の力を込めた。
「ははん、シーサーに感謝してやらないといけないね♡ まったくいいヒントを見させてもらったよ! ようし、そうと決まれば! 見てなよ、みんなビックリさせてやるぞ!!」
真っ直ぐに向かってくる隊長機とおぼしき相手の機体と残りの二機との距離を測りながら、わざとうろたえたかに機体を後退させる。
相手の激しい機銃掃射をギリギリで交わしながら、接近戦を挑むアーマーに右腕のハンドカノンのビームを見舞った!
シールドは解除してある。
減速なしの白熱の光弾はまっすぐに空を切り裂くが、あいにく銀色の飛翔体にはかすりもしない。
「さすがに当たりやしないか! でもあいにくと狙いはそっちじゃないんだっ、そうとも、本当の狙いってヤツは、そうらっ………食らえっっ!!」
その相手の素早い動きに必死に食らいつくかに機体をぐるり旋回させて、突如、ピタリと静止――。
目の前のターゲットスコープの中で、その先にあったものがにわかに慌てるのが見ていてわかった。
これぞまさしくもっての不意打ちだ。
ニヤリと口元が緩むクマ族の隊長は、してやったりと舌なめずりしてトリガーを引き絞る……!
間髪置かずにまた発射した、こちらは最大出力のメインのビームカノンの射線上にあったものは……!!
#006へ続く……!
いきあたりばったりでやっている都合、本来のメインキャラが影が薄くなりつつあるのですが、ここらへんのキャラたちはさすがに大事にしたいところです。この後も重要なキャラが出てくるのですが、だいぶビミョーなカンジになりつつあるのか?
とにかくお話を進めないと展開が見えてこないので、自前のブログに追いつきたいところではあります。
同時進行でやってる解説も進めながらですね♡




