表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボンノーさまがいく ~異世界で46cm三連砲を撃つ物語~  作者: wok
第4章 扶桑の厄災

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/69

第67話 エピローグI

武蔵第一艦橋——


御坂は、メインパネルを見つめていた。

大和から放たれた、青白い光。

九条の光線が、天を貫いていく。

「陽電子砲……」

呟く。

「聞いてはいたけど……まるでビーム砲ですね」

驚愕が、声に滲んだ。

「姉ちゃん、かっこいい」

ムサシヒメが目を輝かせていた。

蛇核が——消滅していく。

光の粒子となって、散っていく。

瘴気の雲は飛散し陽光が窓に差し込んできた。

終わった。

長い戦いが、ついに終わったのだ。

御坂は、小さく息を吐いた。

「micot、被害状況を報告」

『了解しました』

静かな電子音声が応答する。

『レールガンシステムに深刻な損傷』

『航行システムは出力20%までダウン』

『核融合炉、損傷なし』

御坂は頷いた。

「ムサシヒメ、応急処置ドローンを射出」

「了解、艦長」

ムサシヒメが応える。

武蔵の各所から、小型ドローンが飛び出していった。


◆ ◆ ◆


しばらくして——

大和が、武蔵の真横まで航行してきた。

二隻の巨艦が、並んで海に浮かぶ。

姉妹艦。

八十一年ぶりの再会だった。

「micot、移動用ドローンの状況は?」

『問題ありません』

「micot、大和に繋いでください」

『了解しました。通信を開きます』

ピッ——

通信が繋がった。

「こちら武蔵艦長御坂です」

御坂が告げる。

「大和の後部甲板に、ドローンでお伺いしてもよろしいでしょうか」

『こちら大和艦長新村です。了解しました。お待ちしております』

ボンノーの声が返ってきた。


◆ ◆ ◆


大和後部甲板——

御坂とムサシヒメを乗せたドローンが、ゆっくりと降下してきた。

大和の一同が、出迎えていた。

ボンノー、ヤマトヒメ、クレア、リリア、ナターシャ、ヴィヴィ。

ドローンが着地する。

真っ先に飛び降りたのは——ムサシヒメだった。

「姉ちゃん!」

一目散に駆け出す。

ヤマトヒメに向かって。

そして——

抱きついた。

「姉ちゃん……!」

声が、震えていた。

「ずっと……ずっと会いたかったよ……!」

ヤマトヒメが、ムサシヒメを抱きしめ返した。

「私もです……ムサシヒメ……」

「姉ちゃん……」

「ムサシヒメ、長い間……よく頑張りましたね」

「うん……寂しかったよ……姉ちゃん……」

「ムサシヒメ……」

「姉ちゃん……」

二人とも、泣いていた。

八十一年。

八十一年間、離れ離れだった姉妹。

ようやく——再会できた。

クレアが、そっと目を伏せた。

リリアが、祈るように手を組んだ。

ナターシャが、深緑の瞳を細めた。

ヴィヴィが、涙を拭った。

誰も、何も言わない。

ただ、二人を見守っていた。


◆ ◆ ◆


やがて——

御坂が、ゆっくりとドローンから降りてきた。

姉妹の再会を見届けてから。

静かに、落ち着いた足取りで。

ボンノーが、一歩前に出た。

「はじめまして、新村特務少佐」

御坂が告げた。

「こちらこそ、御坂艦長」

ボンノーが応える。

両者、扶桑式敬礼。

「扶桑を救った英雄にお会いできるとは、光栄です」

御坂の言葉に、ボンノーは苦笑いした。

「特務少佐とは懐かしい。自分はただ統制射撃を担当していただけの者です。はは」

「ボンノーさん、扶桑も救ってたんだ! すごい!」

ヴィヴィが目を丸くした。

「ボンノーさん……?」

御坂が首を傾げる。

「この世界ではボンノーと呼ばれています」

ボンノーが説明した。

「差し支えなければ、ボンノーとお呼びください」

「わかりました。ボンノーさん」

御坂が頷く。

「あたしはヴィヴィっていいます。よろしくね!」

ヴィヴィが元気よく名乗った。

「御坂です。こちらこそ」

扶桑式敬礼。

(この子、ドワーフかしら……)

御坂の内心が揺れた。

(ネットゲームでしか見たことないけど……かわいい……)

「あたいはナターシャっていうのさ。よろしくなのさ」

ナターシャが、にやりと笑いながら名乗った。

「御坂です。こちらこそ」

扶桑式敬礼。

(ダークエルフじゃないの……!)

御坂の心臓が跳ねた。

(エルフの中でも希少種と言われる……これもネットゲームの知識だけど……)

(耳、触ってみたい……歳も聞いてみたい……)

(そして、この妖艶な美貌……!)

ナターシャがニヤリと微笑んだ。

まるで、御坂の内心を見透かしているかのように。

「私はリリアと申します。よろしくお願いします」

リリアが、丁寧にお辞儀をした。

「御坂です。こちらこそ」

扶桑式敬礼。

「リリアは聖女様なんだよ」

ヴィヴィが付け加えた。

「聖女ですって……」

御坂の声が、わずかに上ずった。

「……っ、失礼しました」

(きゃーーーー!)

内心で絶叫。

(聖女って、転生したいランキング上位じゃないのーーー!)

(しかも、ありえないくらい美人……!)

表情は、かろうじて保っている。

だが、心臓は爆発しそうだった。

「わたくしはクレア・フォン・リヴィエラと申します。よろしくお願いします」

クレアが、優雅に名乗った。

「御坂です。こちらこそ」

扶桑式敬礼。

「クレアは姫様なんだよ。この国では、すごーく偉いんだよ」

ヴィヴィが説明する。

「……っ」

御坂の目が、見開かれた。

(本物の姫様って……)

(しかも、聖女様と負けず劣らずの美人じゃないの……)

「失礼しました、姫殿下」

御坂が、深々と扶桑式最敬礼をした。

「かしこまらないでください、御坂さん」

クレアが苦笑いする。

「ここでは冒険者クレアですので」


◆ ◆ ◆


挨拶が終わった。

ボンノーが、一同を見渡した。

「これからのことを話し合いたいと思います」

「皆さん、大和第二艦橋へどうぞ」

ヤマトヒメが案内する。

その手は、ムサシヒメの手をしっかりと握っていた。

離さない。

もう、離さない。

一同は、大和第二艦橋へと向かった。



続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ