表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボンノーさまがいく ~異世界で46cm三連砲を撃つ物語~  作者: wok
第4章 扶桑の厄災

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/69

第65話 決戦III

その時——


神々しい光が、空を貫いた。

徹甲神弾。

神殺しの砲弾。

ヤツマタノオロチの頭部に——直撃した。

ドォォォォォォンッ!!!

二つの首が、同時に吹き飛ぶ。

各頭に二発、首に一発。

計六発の徹甲神弾が、オロチの肉体を抉り取った。

『グギャァァァァァァ!!!』

絶叫。

ブレスが——止まった。

八つの首のうち二つを失い、オロチの動きが鈍る。


◆ ◆ ◆


大和第一艦橋——


ボンノーは、その隙を逃さなかった。

大和はヤツマタノオロチの側背に位置していた。

武蔵が囮となり、オロチの注意を引きつけている間に——回り込んでいたのだ。

「一番砲塔、二番砲塔——」

ボンノーの声が響く。

「第二射、撃て」

砲身が煌めく。

六条の光が放たれる。

一番砲塔と二番砲塔——計六門の主砲が火を噴いた。

通常とは異なる発射音。

キュュゥゥゥーーーンンン!!!

「最大戦速でヤツマタノオロチに接近せよ」

「了解です、兄様」

ヤマトヒメが応える。

魔導炉が唸りを上げた。

大和の速度が、ぐんぐん上がっていく。

数秒後——

ドォォォォォォンッ!!!

第二射も、頭部二箇所に命中。

さらに二つの首が破壊される。

「第三射、撃て」

キュュゥゥゥーーーンンン!!!

大和は最大戦速でオロチに接近しながら、容赦なく砲撃を続ける。

ドォォォォォォンッ!!!

第三射も命中。

頭部が——六箇所破壊された。

『ギャアアアアアアアアアアア!!!』

ヤツマタノオロチの絶叫が、海を震わせる。

八つあった首のうち、六つが失われた。

残るは——二つ。

大和は、オロチの至近距離まで到達していた。


◆ ◆ ◆


武蔵第一艦橋——


『ブレスの威力が急激に低下』

micotの声が響いた。

『再計算中』

メインパネルの数値が、目まぐるしく変わっていく。

『艦橋消滅まであと200秒』

御坂とムサシヒメが、息を呑む。

『艦橋消滅まであと30分』

数値が——跳ね上がった。

『艦橋消滅のリスク——消失』

——静寂。

そして——

「やった......」

ムサシヒメの声が、震えた。

「姉ちゃんが、やってくれたんだよ......!」

涙が、頬を伝う。

でも、それは喜びの涙だった。

「やっぱり、姉ちゃんは扶桑一の戦女神だね」

御坂は、ムサシヒメを見下ろした。

そして——

ふわり。

小さな体を抱き上げ、自分の膝の上に乗せた。

「ムサシヒメの姉ちゃんは、扶桑一だね」

頭を、優しく撫でる。

「でも——御坂の中では、ムサシヒメが一番だけどね」

「みさかさん......」

ムサシヒメが、御坂の胸に顔を埋める。

「あとは、大和がなんとかしてくれる」

御坂は、前方を見据えた。

大和が——オロチに迫っている。

「見届けよう。ムサシヒメの姉ちゃんの、最後の戦いを」


◆ ◆ ◆


大和第一艦橋——


ボンノーが、号令を発した。

「第二段階作戦——開始」

その声を合図に、クレア、リリア、ナターシャ、ヴィヴィが動いた。

艦橋を飛び出し、露天艦橋へと駆け上がる。

風が、髪を揺らす。

眼前には——残り二つの首を振り乱すヤツマタノオロチ。

「クレアさん」

リリアが、クレアの手を取った。

「すべてが終わったら......また、ボンちゃんと......」

頬が、赤く染まる。

だが、その瞳には確かな決意があった。

クレアが、微笑んだ。

「ええ、リリア。今度は——もっとすごいことをしましょう」

頷き合う。

そして——

「鐘よ鳴れ、祝祭の刻」

リリアの声が、聖歌のように響く。

「滴は流れ、流れは河、河は海——命は連なり」

金色の光が、クレアを包んでいく。

「女神の恩寵、この者に満ちよ」

『聖女権能——レファリア・セレブレーション!』

微風が舞い、金の花片が静かに降りた。

祝福の光が、クレアの全身に宿る。

「ありがとう、リリア」

クレアが、天羽々斬を抜いた。

「いきますわ」

凛とした声。

「姫騎士権能——ブレイブハート!」

赤いオーラが、クレアの全身から迸った。

「ナターシャ、頼みます」

「任せるのさ」

ナターシャが、にやりと笑った。

「あたいは風魔法が一番得意なのさ」

無詠唱。

風が、クレアの足元で渦を巻く。

「クレアちゃん、盛大にやってくるのさ」

ゴオォォォ——!

風がクレアを打ち上げた。

赤いオーラを纏ったまま——まるで赤い彗星が上昇していくように。

そして、ナターシャは無詠唱で石魔法を発動。

上空に、次々と足場を形成していく。

「あたしがみんなを守る」

ヴィヴィが、大盾を天に構えた。

リリアとナターシャ、そして大和を——落下物から守るために。

「ヴィヴィ、頼りにしてるのさ」

「任せよ、姐さん!」


◆ ◆ ◆


上空——


クレアは、オロチの残る二つの首を見据えた。

赤い瞳が、こちらを睨んでいる。

だが——もう、迷いはない。ただ、斬り伏せるのみ。

「リヴィエラの姫騎士——クレア・フォン・リヴィエラ」

風に乗り、オロチへと突撃する。

「あなたを討ち取る者の名前です」

剣を構える。

「覚えておきなさい」

そして——クレアが消えた。

斬撃が、始まった。

一閃。

二閃。

三閃。

通常の六倍速。

残像すら見えないほどの連撃が、オロチの首を切り刻んでいく。

四閃、五閃、六閃——

『グギャァァァ!』

オロチが悲鳴を上げる。

だが、クレアは止まらない。

七閃、八閃、九閃——

ナターシャが作った足場を蹴り、さらに高く跳躍する。

十閃、十一閃、十二閃——

血飛沫が舞う。

漆黒の鱗が、次々と斬り裂かれていく。

十三閃、十四閃、十五閃——

「二つの世界の民の想いを——」

十六閃、十七閃——

「この剣に込めて——!」

十八閃!

ズバァァァン!

一つ目の首が——切り落とされた。

『ギャアアアアア!』

残る首は、あと一つ。

クレアは、最後の足場を蹴った。

高く——さらに高く飛翔する。

「紅蓮剣——」

剣に、すべての力を込める。

金の祝福と、赤い闘志が、刃に収束していく。

「裂光斬!」

振り下ろされた一撃が——

ズバァァァァァァァァンッ!!!

最後の首を、切り落とした。


◆ ◆ ◆


『その剣は......』

切り落とされた首から、声が漏れた。

『あめのはばきり......』

オロチの赤い瞳が、見開かれる。

恐怖。

四千年前の記憶が、蘇ったのだろう。

『グギギィィィィアアアアアアアア!!!』

絶叫。

『おのれ——アマテラスめぇぇぇぇ!!!』

八つの首を失ったヤツマタノオロチが、断末魔の咆哮を上げた。

その声が——海を、空を、震わせる。

クレアは、空中で剣を構えたまま、その光景を見下ろしていた。

風が、亜麻色の髪を揺らす。

「——終わりです」

静かに、告げた。


続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ