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第20話 誰と関わるかが大事

「ふぅ、今日も疲れたな」


 あの後、劇上で玲と凛奈はキスするべき派とキスしない派と百合に挟まる男は有罪派の間で大論争が起きたが、結局結論は出ないままで終わった。


 大論争のせいで危うくスケートリンクのバイトに遅刻するところだった。

 鬼丸整備長は昔気質な人だから、遅刻とかにはうるさいからな。


 今日も遅いから、風呂入ってとっとと寝るか。


(ピピピッ♪)


「ん? 着信か」


 すでに時間は大分遅い時間だが何だろう。玲か凛奈かな?


 そう思いながらスマホを手に取り応答する。


「はい」

「あ、才斗兄ぃ」


「お、愛梨(らぶり)か。久しぶりだな」

「こんばんは……なのじゃ才斗兄ぃ」


 電話をかけてきたのは地元の後輩女子の愛梨だった。

 話すのは夏休みのお盆に帰省した以来か。


「どうした?こんな時間に」


 ベッドに腰を下ろしながら、靴下を脱ぐ。


「あのな、才斗兄ぃ……。今度、そっちに遊びに行ってもいい……か?」

「おお、いいぞ」


 珍しく、おずおずと遠慮がちに訊ねてきた愛梨に、俺は二つ返事で即了承した。


「えぇ⁉ そ、そんなあっさり……。言っておくけど、兄者じゃなくて我一人で才斗兄ぃの所に遊びに行くんじゃぞ⁉」

「別に愛梨ならいいぞ。どうした? 受験勉強でちょっと息が詰まったか?」


「才斗兄ぃの、そういう何でも先回りするの、我はキライじゃ……」

「ハハハッ! まぁ、種明かしをすると、愛梨の兄貴である英司から事前に連絡が来てたんだよ。うちの高校の文化祭に学校見学がてら遊びに来るんだろ?」


「う、うむ」


 英司からは、愛梨の事をよろしく頼むとメッセが来てたんだよな。


 今、愛梨は中三で進路について悩ましい状況だ。

 これくらいの協力は惜しむべくもない。


「文化祭は俺は結構運営側で忙しそうで、あまり愛梨に構えないかもだからな。玲と凛奈にも頼んどくから」

「才斗兄ぃと同じ高校の痴女お嬢はともかく、なんで他校の痴女王子が出てくるのじゃ?」


「今年は玲の高校と合同で文化祭をやることになってな」


 そこからは、合同文化祭に向けた色々ないざこざを愛梨に話して聞かせる。


 しかし、こうして客観的に分かるようにまとめて伝えると、俺って結構がんばってるよね?

 生徒会とかでも何でもないのに。


「アハハッ! 才斗兄ぃは都会に行っても相変わらずじゃな」

「そうなんだよな~。地元を離れたから、こういうのからはオサラバできると思ったんだけど」


「地元の祭りでも才斗兄ぃは大活躍じゃったな」

「あれは、お前らが滅茶苦茶非効率なやり方してたから、声を掛けずにはいられなかったんだよな」


 最近は色々と忙しかったから、こうして不意に地元の田舎の奴と電話でおしゃべりをして、当時のノスタルジーに浸るのはとても気分転換になった。


「才斗兄ぃ……。都会は楽しいか?」

「う~ん、そうだな。都会と田舎って言っても、結局は誰と関わるかが大事なんだよな」


「誰と関わるか? どういう事じゃ?」

「何ていうのかな。一番大事なのは周りの人間関係なんだよ。田舎でも都会でも、付き合う奴らが気持ち良い奴らなら、どんな場所でもやってけるもんだ。そういう意味では、今の場所はそっちの田舎と同じくらい居心地はいいよ」


 まぁ、校内の男子たちの大多数には嫌われてるけどな……。


 でも、そこはいいじゃん。

 地元の後輩には格好つけたいもんなのだ。


「そうか……。じゃあ、文化祭の日はよろしく頼むのじゃ」

「おう。今度、文化祭のパンフレットを送るな」


 そう言うと、思ったより早く電話が切れた。



(そういや愛梨の奴。自分の事は何も話さなかったな……)



 普段の愛梨なら、地元の友人たちの話や、番長としての気苦労をここぞとばかりに語りつくすのかと思ったのだが。


 いつも、あの小っちゃい身体のどこにそんなエネルギーがあるのかという程なのに、電話口で元気のなかった愛梨の事が、少し心に引っかかった。

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― 新着の感想 ―
忘れられかけていた第三の女が参戦w しかしやっぱり距離が離れると関係も細くなってしまうよねえ
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