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第19話 未来のお嫁さんの貞操の危機よ!

「おお……神々しい天女よ。信徒の私ごときが、つい貴女の手に触れてしまいました」

「ええ⁉ そんな、急に女の手を握っておいて……。で、でも手に触れるくらいなら、まぁ、いい……かな……」


「いいえ、その手の穢れを落とすために、是非に貴女に口づけをしたいのですが」

「ふぁ⁉ で、でもチューなんて私……。あ、そうだ! 手の穢れをおとすなら、こうしてお互いの手のひらと手のひらを合わせて。これが、神の御子たる私たちのチューって感じで……どう? ね?」


「手がセーフという事は、唇に口づけもセーフという事。なぜなら、天女様には手も唇もあるのだから」

「何、その論理の飛躍⁉ え~、どうしようかな……この人強引で困ったなぁ~」


「もう口を閉じて。あなたの唇に祈りを捧げる」

「あ、だめ……神様が見て」




「「「ワキャアアアアァァァアアアア‼」」」



「はい、カットォォォ~! オッケ~ですわ~!」


 ロミオとジュリエットの冒頭の見せ場の2人が出会ったシーンが終わった際に黄色い鳴き声が上がるのと、舞台監督のカットがかかったのは、ほぼ同時だった。


 いや、本当にあれでオッケーなの監督?

 誰だ、台本書いた奴。


「流石ですわ西野嬢! 玲様のロミオっぷりを前に、あそこまで役に徹することができるなんて。私のキャスティングの目に狂いはなかったですわ!」

「どうも。まぁ、私はヘタレ王子相手に緊張なんてしないですよ」


「それは心外だなジュリエット。ここは、もっと分からせないといけないかな」

「役に引っ張られんなヘタレ王子が」


 アゴくいしようとした玲の手を凛奈が丸めた台本で叩き落とす。


 今、俺たちは叡山高校のステージ上で、来たる合同演劇の稽古をしている所だ。


 とは言え、まだ衣装や舞台装置は無く、体操着を着て台本片手でのステージ上で動きを確認しつつの状態だが。


「それにしても、ジュリエットである私のセリフだけ、あんな現代風な超訳でいいんですか?」


「ここが今回の演劇のミソですわ。ロミオとジュリエットの世界に、ジュリエットとして異世界転生してしまった現代女子高生という設定なのですわ」

「でもあくまで玲様のロミオは戯曲調で」

「こうすると、観客は自分に置き換えやすく、より玲様のロミオっぷりに没我(ぼつが)できるのですわ!」


 怪訝な凛奈に対し、清水会長たち叡桜女子高生徒会の面々が熱弁する。

 お嬢様女子高でも異世界転生って流行ってるのな。


 まぁ、でもこういう戯曲ってセリフ回しが独特だからとっつき辛い面もあるからな。

 その点、ほとんどこの手のオペラやバレェの観劇をしたことが無いであろう叡山高校の生徒にとっても分りやすくていいかも。


「ふむ。一時は本気で総辞職に追い込もうとしましたが、会長は中々いい仕事をしますね」

「佐々木さん。鼻血出てるからティッシュ使いな」


 俺は、隣で腕組後方彼氏面で何度もうなずいている佐々木さんにティッシュを渡した。

 佐々木さんは、玲の警備名目で同行してきているのだ。


 叡桜女子高で勃発した大規模な生徒会弾劾デモだが、叡山高校文化祭の一般公開参加オーケイの御触れにより無事に鎮火したのである。


 デモの発端を作った俺としては一安心である。


 まぁ、叡山高校側としては、叡桜女子高の子たちがこちらの文化祭に押し寄せることは必至なので、警備やトラブル対応に今から頭が痛いが。


「監督。ちょっと提案があるんだけど、いいかな?」

「なんですか? 玲様」


 汗をぬぐいながら、玲が監督である清水会長に向き合う。


「ここは、よりよい劇のために、キスシーンでは本気のをしたいんだけど」


「「「ふぁ⁉」」」


 玲の提案に、一同が固まる。


「な、な、何言ってんの⁉ ヘタレ王子が!」

「凛奈ちゃん、ボクは本気なんだ。叡山高校の皆さんはもちろん、叡桜女子高の子たちにもお披露目する以上、半端な演技はしたくないんだ」


 凛奈の手を取り熱意をもって訴えかける玲の顔は真剣そのものだ。

 対して、凛奈は顔をボウッ!と着火したように赤くする。


「いいよね? 大丈夫、本当にするのは本番の時だけだから」

「そんなんやれるか! だから、役に引っ張られすぎなのよ、このバカロミオが!」


 強引な王子様に迫られて、流石に凛奈もタジタジな模様。

 あ、生徒会の皆さんと佐々木さんが泡噴いて倒れてる。


「才斗! 未来のお嫁さんの貞操の危機よ!」

「あ、そっか。ここで凛奈ちゃんの初めてを奪っておけば、凛奈ちゃんをキズモノにできるね。じゃあ、ますますキスしとかないと」


「あんたの自爆攻撃に私を巻き込むな、ヤメロばか! って、なんで才斗は見てるだけなの⁉ 止めなさいよ!」


 ええ……。だって、絵面的に百合に挟まる男みたいになっちゃって嫌だし

 俺、百合物はできれば外周から見守っていたタイプだからと、俺はその後の2人の攻防をしばし黙って見守るのであった。


 思ったより大規模になった合同劇だが、まだまだ前途は多難なようである。

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― 新着の感想 ―
せめて初めては好きな人に、って凛奈が迫ってくる未来w オリビア・ハッセーのロミオとジュリエットは、ちゃんとベッドシーンがあったのよね。
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