伝説の龍への挨拶
こんにちは!!アイクの前に現れたのは、エバーグリーンドラゴンではなく≪青龍≫!
どうなるのでしょうか!
「え!?」
僕はうろたえた。
≪青龍≫といえば、異世界で10匹しかいないと言われる、古代級のモンスターのうち、更に上位とされる四聖獣の一体。図鑑の絵でしか見たことがなかった。
実在したんだ。こんな辺鄙な森のダンジョンで!
「ナニヲシニキタ?」
え?いま青龍がしゃべった?
僕は青龍の方を見やる。すると青龍はもう一度言った。ナニヲシニキタ?
僕が答えようとすると、その両脇をストーン・エイジの面々がすり抜け、入ってきた扉の方へ走っていく。
「って、えええええ!?みなさん!!」
「なにぼさっとしんてだぼっちゃん!逃げるぞ!」
「いまあいつ話しかけてきませんでした?」
「そんなわけないでしょ!殺されますよ!!」
実力差を肌で感じたストーン・エイジは、立ち止まる僕を置いて扉の外へ出ていこうとしていた。
「シツモンニコタエズ、ムシシテセヲムケルトハブレイナヤツラダ。ン……?」
青龍が僕を見つけた。
「オマエハニゲヌノカ?」
「こっ、こっ、」
僕は一か八かの勝負に出た。
「こんにちは青龍さん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ン?」
「こんにちはー―――――ー-!!!!青龍さー―――――ん!!!!!!!!!」
挨拶が人生の分かれ道。元の世界での失敗は、こっちではしない。
もしかしたら普通に殺されるかもしれないけど。
挨拶は、しないよりしたほうがいいに決まってる。
どうだ青龍?
「ン……」
だめか!!!!!!!そりゃそうか!!!!!!はははは!!!逃げればよかった!!
「ン……?」
ん?
「……アア。コンニチハ」
お!?
「あ、あの、今日はいい天気ですね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ン?アア、ソウダッタナ、ソトハポカポカシテイテキモチヨカッタ」
「青龍さんって、青がすごい似合いますね!!!!!かっこいいです!!!!」
「ハ?」
「え?」
「……オマエ、ソレホンキデイッテルノカ?」
「え?」
「オマエ、ソレホンキデイッテルノカ!!!!?」
謎の逆鱗に触れた!?????調子のった!!??青龍なんだから青似合うの当たり前だもんな!!!馬鹿にしてると思われちゃった!?
「メッチャウレシインダケド!!ハジメテイワレタワ!!!ダレモイッテクレナイカラサー!!!」
イケた。
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「アイク、カ。覚エテオク」
「ありがとう青龍さん」
立ち話で10分少々話した結果、僕は古代級のドラゴンと友達になった。おかげで、彼のしゃべりもちょっとずつ聞き取りやすくなった気がする。
「オマエノ≪挨拶≫トテモ嬉シカッタ」
「本当ですか?」
「アア、コノ数千年ノアイダ、俺ヲ見ルモノハ、ミナ、話シカケテモ無視ヲスルカ、攻撃ヲシテクル。挨拶シテクレタノハ、アイクガ初メテダ」
「やっぱ、挨拶って大事ですよね。……あ!そうだ!永遠花龍」
「コイツカ?コイツハ俺ノダンジョンニ我ガ物顔デ住ンデタカラ、ブッ殺シタ」
そうか、青龍の住処だから、青のダンジョンだったのか。言われてみれば納得。
「永遠花欲しかったなぁ」
永遠花龍の身体には一輪たりとも花は咲いてなかった。
「コイツノ花カ」
「え?」
青龍が大きな全身をドシドシずらすと、青龍がいま立っていたところの後ろに、たくさんの花が咲いていた。
あれは永遠花!
「どうしてそこに!?」
「ソコノ馬鹿カラ、全部ムシッテ観賞用ニ飾ッテタンダ。必要ナ分ダケ取ッテケ」
「いいんですか!?」
「アイクハチャント挨拶シテクレタ、俺ノ友達ダカラ」
「ありがとう青龍さん」
「青龍デイイ。青龍ト呼べ」
「ありがとう青龍」
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青龍から永遠花をもらった僕はダンジョンを出た。
面白かったのが、帰りの途中、身体を魔法で極小化させた青龍がついてきてくれたおかげで、すれ違うモンスター全員が、襲い掛かってこず、僕に深々と挨拶をしてきたことだ。
「俺ノ友達ニ挨拶シナカッタラブッ殺スカラナ」
「ギャヴァ―!!!!!」
上下関係半端ないな!
そして僕は、家に戻ると、ストーン・エイジの面々から事情を聞いていた父にこっぴどく怒られながらも、母の誕生日当日、永遠花を渡すことができた。
「お母さま。お誕生日おめでとうございます。これ、僕からです」
「うそ?永遠花。こんなにいっぱい?」
「いつもありがとうございます、本当に。本当にありがとうございます!!」
「ふふ、ありがとうアイク」
――思っていることを伝えられるかどうかで、人生の幸福度も大きく違ってくるようです。
アイク=アージェント(元・沢田タカシ)
読んでいただきありがとうございました!!
気に入ってもらえたらまた次回も読んでください!!




