表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
正義による悪の塊  作者: 旭川 宇美
4/5

3

人間が落ち葉を踏んだ音。


その音が聞こえた瞬間俺は音が聞こえた場所から死角になるように木の後ろに移動する。


常識はもう通用しないと考えた方がいい。


この場合最悪なのは出会い頭に攻撃されること。


ここが日本ではなくどこか外国、そしてこの足音が友好的な人間のものではなく、原住民のような常にサバイバルをしている人間で常に死の危険と隣り合わせにある可能性。


その場合見知らぬ人間は、即攻撃される可能性もある。


攻撃された場合俺は、自身の身の安全のために相手を殺す。


だがデメリットが多すぎる殺しは最後の手段にしたい。


「なんだこりゃぁ?」


考えを巡らしていると声が聞こえる。


「さっきのイノシシの...死体ですね」


日本語...そして2人組か。


俺は木の影から盗み見る。


最初に言葉を発した男はかなり体格がいい。


鍛えられており服の上からでもその筋肉量が分かる。


もう1人の敬語を使っている男は引き締まってはいるが隣の男ほどでは無い。


ただ2人とも腰にナイフ...いや形状的にダガーを装着している。


そしてその服装。現代ではまず見ないまるで近世や中世のヨーロッパのような服。


日本語を使っているのにも関わらずこの服装、かなり違和感があるな。


日本語を使っている以上ここは日本の可能性がある。しかし服装がそれを否定する。


コスプレの類いの可能性も低い。


イノシシの死体を見た瞬間の反応。


この状況でそれだけ落ち着いていられるということは、この2人組にとってこの状況はおかしくないということ。


狩りに来ていたと言うならばダガーはおかしい。


ダガーは対人用の武器だ。


そしてダガー以外何も持ち合わせていない様子。


「さっきのイノシシ」という言葉から察するに俺が殺したイノシシが興奮状態にあったのはこの2人組が原因の可能性が高い。


慌てる様子もなく後を追いかけてきた雰囲気を鑑みるにこの2人組はこのイノシシを殺す、または捕える算段がついていたということだ。


「どっかにぶつけて死んじゃったんですかね?」


「かもなぁ、運がいいぜぇ。久しぶりのイノシシだ」


「ですねー、ちょうど食糧も減ってきてたんで」


「さっきの女から金貨も盗れたし今日はいい日だなぁ。後はモリスの馬車から金目のもん奪ったら完璧だ」


なるほど


イノシシを追っていた理由は狩り。


金貨も盗れたという言葉から男たちは俗に言う盗賊のような物だということが分かる。


そして金貨は通貨、つまりここは日本ではない、もしくは独自の文化を持った民族であることが確定。


モリスは人名か?


今の最善はおそらくやり過ごすこと。


しかし今後のことを考えると今行動に移すべきだな。


俺はわざと物音をたて盗賊の前にでる。


「あっ!すいません!迷っちゃって!今ここどこら辺か分かりますか?」


「テメェ...なに者だ...」


体格のいい男は真っ先にダガーへと手を伸ばし臨戦態勢に入る。


もう1人の男も遅れて同じ行動をとる。


「いえ!怪しいものじゃないんです!目的地までの道のりが分からなくなっちゃって!」


男は俺を吟味するように睨みつけてくる。


数秒後


「ちっ...見たことねぇ服だ、多分世間知らずの貴族か頭のおかしい商人だ。なんで護衛がいねぇのかは知らねぇが殺しちまうと報復がやべぇ」


「はい」


体格のいい男はもう一人の男にそう告げる。


「おい、金目のもん置いてどっか行きな」


男はそう言うとダガーを抜き俺に刃先を向ける。


「すっすいません!」


俺は慌てた振りをしながらポケットから物をとる素振りを見せつつ近づく。


「おい!テメェその場に置きやがれ!」


その言葉を言い終わる頃には俺は既に男に触れられる距離まで近づいている。


「ちっ!」


その瞬間、おそらく咄嗟の判断


俺を殺すことは、かなりリスクがあると分かりながら男はダガーを俺に向かって突き刺そうとしてくる。


咄嗟の考えられていない攻撃、簡単に読むことができる。


俺の特技は、理論があるものを再現すること。


簡単に言うなら人間が生み出した技術、さっきのパルクール。


さらに例をあげるなら護身術、武術など1度そのやり方や実践方法を文章で理解出来れば練習せずに1発で再現出来る。


今からやるのはまさに1度理解した護身術、ディスアームだ。


ナイフ、こいつの場合はダガーだがそれを武装解除する。


ただこれ程鍛えられている人間は、なかなかダガーは手放さない。


そこでディスアームの技の1種、俺から見て左上から振り下ろされたダガーを避け相手の肘関節に俺の右手を持っていく。さらに振り下ろした際の力の流れを利用し左手で相手の腕ごと首元までダガー持っていき、


後はもう簡単だ。






そのままこの男の首を掻き切る。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ