表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/45

魔王さまの侵略計画は長く遠く

 魔王がリュウを引き取ってから、はや三年がすぎました。


 話せる単語も増えて、自分の足で歩けるようになりました。


 今日は銭湯が休業日なので、魔王はリュウを連れて散歩に出ました。

 右手はリュウの手を握って、左の肩には保冷ショルダーバッグをかけて。

 ゆっくりリュウの歩調に合わせて農道を歩きます。

 ゴールデンウィーク間近で日差しはポカポカ。


 魔王とリュウはご近所さんから親子ペアルックというものをもらい、おそろいの白い帽子をかぶっています。

 


「おとーさん。わしははらがへったのう」


 

 魔王が育てたから、喋り方はそのまんま魔王のものがうつりました。


「おお、そうか。それじゃあそろそろ弁当を食べようかの。畑の方に行けばトメもいるはずだ」


 左肩の保冷バッグには、お弁当が二人分入っています。

 最初は小さなパックだったけど、リュウのお弁当箱は年々大きくなります。

 食欲旺盛。


 このままドラゴン時の魔王のように頑丈ででかい男になることを願うばかりだ。


 カブ畑に差し掛かると、トメさんとみんなが野菜コンテナを椅子にして昼休憩をはじめるところでした。



「おうい、トロさんや。おれらこれから昼飯にするけ、トロさんもなじらね」


「そうしようかの。リュウ。みんなで食べよう」

「うむ!」


 たくさん食べて笑って、リュウは食べたらすぐ眠ってしまいました。

 寝る子は育つといいますし、いい傾向だと魔王は喜びます。



 魔王がリュウをおんぶして、空になった弁当箱はトメさんが持ってくれました。


 のどか荘の玄関にはケルベロス専用の犬小屋もできていて、ケルベロスが出てきました。


「わうわう!」

「おお、今帰ったぞケルベロス」


 部屋にあがると爺やが鳥かごの中でバタバタわめいています。



「なぜ爺めを置いていくのですか魔王さまぁあーーーーー! 爺めも、オサンポしたいーーー!」

「すまんのう。外に出したらカラスに襲われるであろう」


 わめいても地球の人間に翻訳スキルはないので、通じません。


「今日もジーヤちゃんは元気だねぇ」


 トメさんがからから笑ってリュウ用の布団をしいてくれます。

 そこにリュウを寝かせて、ブランケットをかける。

 成人するまであと何年か。千年単位の命を持つドラゴンには数十年なんて瑣末なこと。

 小さき命の頭をなでてやります。


「よしよし。たくさん寝て食べて、儂より大きく立派になるのだぞ、リュウ」


 りっぱな魔王軍幹部に育てるまでの道のりは、長く長く続いていきます。





 END



挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=151707040&size=300


新連載はじめました。
シスター・キントレ!
design.png
― 新着の感想 ―
[一言] 完結おめでとうございます! 魔王様、父親業板についてますね。 リュウくんが結婚する時なんかは、号泣しそうですね。
[良い点] 3年の月日が……!! リュウはすっかり「おとーさん」の口調が移って。 なんかもうこのまま彼らは地球で平和なスローライフな田舎生活を送りそうですね(笑) よきかなよきかな(*´▽`*) 魔…
2024/02/16 07:48 退会済み
管理
[一言] 完結ゥ!?!?!? 急で驚きましたがちょっと成長したリュウ君が出てきて嬉しかったです( ´∀` ) ユーシャ達の外伝とかもやるのかしらと思いつつ完結までお疲れさまでした!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ