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第二十七章 記憶から『自分』が生まれる

バカラにもう、守る家族はいない

しかし、守るべき存在は多い

だからこそ彼は頑張れたのだ


全ては、自分が経験した『悲劇』を繰り返さない為に・・・

バカラさんは、元々王都生まれではなく、王都からほど近い町で生まれた。だが、そこで生活していたのは、7歳の頃までだったそう。

しかし、彼が生まれた町がもう存在しないと分かった時点で、全てを察してしまった。

そう、彼が生まれた町は、モンスターの襲撃によって滅ぼされてしまったのだ。

当時、外交関係の行事で兵士が素早く現場に急行できなかった事も相まって、被害は相当甚大だったそう。

幼いバカラさんは、強引に木版で施錠されていたタンスの中で発見された。だが、彼は決して虐待を受けていたわけではない。

そのタンスの近くで、彼の両親が冷たくなっていた。両親は息子の命だけでもモンスターに奪われない為、苦肉の策で彼を閉じ込めたのだ。

だがその強引な策が功を奏し、彼は生き残る事ができた。だが、その町で生き残ったのは、彼を合わせるとほんの数人しかいなかったんだとか。

バカラさんは、その時の情景を、大人になった今でも鮮明に覚えているらしく、まだモンスターを目前にすると、言いようのない恐怖と怒りが込み上げるらしい。

元々村があった場所には石碑が建てられている為、彼は事件が起きた両親の命日になると、必ず毎年花束を供えに行くそう。

7歳で独り身になってしまったバカラさんは、その時の記憶を胸に抱き、兵士としての道を歩み始める。

そう、この記憶こそが、彼の全ての始まりだった。

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