第二十四章 夜空の鑑賞
一人きりで夜空をぼんやり眺めていたかったが
彼女にはそんな油断すらも与えてもらえず・・・
「・・・しょ・・・よっ・・・」
「・・・??」
後ろの方で、何故か誰かが力んでいる声が聞こえる。それだけではない、木がミシミシと軋む音も混ざっている。
まさか動物が梯子なんて登れるわけもなく、不思議に思った私が覗き込んでみると、そこには・・・
「バっバカラさんっ?!」
「よい・・・しょ・・・っと」
危なげながらも彼は梯子を登り切り、背伸びをするバカラさん。
成程、女性よりも男性の方が体重がある。だから梯子が軋んでいたのだ。
「いや、君が家を出て、この梯子を登る姿を見てね。私もつい・・・」
そう言いながら、彼は屋根に座り込んだ。
やっぱり王都では、これほど月や星の光が目立つ事はないらしく、バカラさんは若干興奮気味になりながら、私に色々と質問をぶつける。
「この里では毎日、こんな夜空を体感できるの?」
「いやぁ、いつもって程ではないですよ。雲があったり雨が降ったりすれば、当然月や星が隠れますか
ら。」
「この明るさは、もはや夜明け頃にも匹敵するよね。」
「確かにそうだけど、夜明けと夜更けでは『空気の匂い』とか『気温』が全然違いますから、空を見なく
てもある程度時間は分かるんです。」
「・・・そういえば、この里の民家や君の家にも『時計』が無かったけど、君達は『匂い』で時間を把握
しているの?」
「まぁ、太陽の向きが此処でははっきり分かるから、正確な時間は分からないけど。」




