88/241
第二十三章 いつもとはちょっとだけ違う夜
そもそも前世の私は、何の為に歴史や因数分解、古典や化学式を学んでいたのかも分からない。
学生時代半ばで亡くなってしまった私にとって、あんな地獄の様な環境で勉強をさせられても、全く頭には入ってこなかった。
でも、転生した後は、面白いくらい色々な事柄が、頭の中にポンポン入ってくる。
この里やシルフォ一族についての歴史や、山と共に共存する上での知識。別に覚えなくてもいい事柄まで、しっかり頭の中で保存されている。
でも、どんなにこの里や山を熟知していたとしても、自然の風景や美しさは、もう覚えるとか覚えていないとか、そうゆう話ではないと思う。
何故ならその時々に見せてくれる自然の顔色は、常に変わり続けている。
同じ季節だとしても、同じ時間帯だとしても、同じ場所だとしても、その美しさを再び目にする事はできない。
その一瞬一瞬が、まるで写真版パラパラ漫画の様に、変わり続けている。
だからこそ、毎年同じ風景を見ようとしても、何故か不思議な違和感を感じてしまうのだ。
自分の世間知らずに自分自身で失望するコン
しかし彼女にとっての世界は
里と森だけでもう十分だった




