第二十二章 現状に焦る
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!
何これ?!! 何のイベント?!!
望んでないんですけどぉぉぉぉぉ!!!
いやね、里に来た事はもうこの際構わないんだけどさ、泊まり込みでお礼なんかされても、逆に申し訳ないんですけどぉぉぉぉぉ!!!
というかバカラさん、どんだけ律儀なのよ!!
わざわざ里の家々に挨拶をして回るとか、里の皆もすっかりバカラさんを気に入っちゃったよ!!
「こんな何にもない場所でごめんねぇ。」
「いえいえそんな、此処はとても素敵な場所です。何処を見ても、見足りない程の自然が溢れているんで
す。
一度でも良いから、こんな環境で生活をしてみたかったんですよ!」
・・・まぁ、今更「帰れ!!!」と言うわけにもいかないし、バカラさんは決してお世辞でこの里を褒めているわけではない。
真意のままに、この里も、後ろに聳え立つ山も、輝かしい眼差しで見ている。バカラさんは、自然が好きなのかな?
バカラさんは、一週間程里に滞在するそうで、その間は、私達の仕事を色々と手伝ってくれるんだとか。
・・・多分、私もバカラさんの付き添いを任されるんだろうなぁ。
近々山に登るつもりだったけど、山に慣れていないバカラさんを引き連れて登るのはリスクがある。
魚が釣れる山の中腹くらいなら大丈夫だと思うけど。きっと里の子供達も、喜んでバカラさんと一緒に釣りを楽しんでくれるだろう。
というか、さっき来たばっかりなのに、子供達はもうバカラさんに懐いている。肩車してもらったり、王都の話をしてもらったり。
凄いなぁ、これもバカラさんの『実力』なのか、それとも『素質』なのか。・・・いや、きっと後者だろうな。
兄よりもバカラさんの方が年上に見えるけど、あの無邪気で優しい笑顔は、素直だった兄を彷彿とさせる。
バカラさんと兄の仲が良いのは、出会いとか訓練云々ではなく、単に『同類だから』なのかもしれない。単純だけど。
・・・世界が変わっても、釣り合う人は釣り合う、釣り合わない人は釣り合わない。
いや、バカラさんに至っては釣り合う・釣り合わないも関係無しで、無意識に釣り合わせようと、本人が頑張って・・・はないか。
自分を曝け出す事を躊躇う人って多いけど、バカラさんは曝け出しても出さなくても、人に好かれちゃうんだから、ちょっとズルい。
「・・・ん? コンさん?」
「あ・・・いやいや。
ちょっと・・・羨ましいなって思っただけです。」
「???」
もうどうしようもない
こうなったら、この状況を飲み込み、乗り切るしかない
そう腹をくくる、コンなのであった




