第二十章 兵士長 ペチュニア・バカラ
父の言葉に、笑顔で答えるバカラさん。でもその笑顔には、若干苦しみが混ざっている気がする。
その苦笑を見て、彼の言っている事が真意である事は、申し訳ないくらい伝わった。
でもそれと同時に、王都へ向かった兄が、改めて心配になってしまう。
バカラさんは、王都生まれ王都育ち、にも関わらず、未だに王都の賑やかで騒がしい環境が合わないそう。
そんなの、兄だったらもっと合わないと思う。でも・・・バカラさんが賑やかな環境を嫌うのも、何故だか納得できてしまう。
だってバカラさん、見るからに大人しい性格・・・というか、自分から発言したりせず、偉い人の傍に寄り添う、いわゆる『秘書タイプ』だ。
そんな彼が、大衆の意見や考えに巻き込まれるイメージが、失礼だけど想像できてしまう。
良く言えば『生真面目』
悪く言えば『騙されやすい』
・・・みたいな感じ。
多分、彼が兵士長になれたのは、実力も要因の一つだとは思うけど、その人柄の良さも加わっていると思う。
「彼なら重要な役目も任せられる!!」みたいな、若干『偏見』にも思える彼の実力と人柄は、兵士の知識が皆無の私でも、納得できてしまう。
「それにしても。
バカラさん、何故此処が分かったのですか?」
そう、私も母と同じ事が聞きたかった。
何故バカラさんは、何の目印もない、何の情報も無いであろう状態で、この里を見つける事ができたのか。
『まぐれ』や『運』だけでは、此処に辿り着けない筈。前に此処へ来た時、父は彼に里の情報を一切伝えなかったみたいだから、余計に不思議だ。
王都に帰る最中に、道標でも付けていたのかな?




