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その頃、、兵舎にて(2)
「ご馳走様。」
「・・・・・」
実家に住んでいた時、必ず家族全員が「ご馳走様」と言っていた、今ではそれがたまらなく恋しくなる。
ただ黙って食べて、ただ黙って片付けて、ただ黙って部屋に帰る。それがどれだけ苦痛なのか。俺はこの空気に耐えられず、足早に兵舎へ戻ろうとした・・・
バンッ!!!
「おいっ!!!皆ぁ!!!」
「グハァ!!!」
急に俺の目前まで高速でドアが迫り、そのまま激突。ナニかが軋む嫌な音が頭と耳に響いたまま、俺はその場に蹲る。
その一部始終を見ていた訓練兵仲間の数名は、腹を抱えながら笑いを必死に堪えていた。手すりや壁をバンバン叩きまくる仲間もいた。
俺は恥ずかしさと痛みで、心配してくれる仲間に何も言えず、突然ドアを勢いよく開けた兵士の顔を見上げた。
その兵士の顔は、喜びに満ちていた。そんな感情が抑えられないのか、涙もポロポロと流れている。
俺は何故かその表情を見ただけで、その兵士が一体何を伝えに来たのかが分かってしまった。
だがその知らせは、俺だけではなく、大勢の人々が願ってた吉報である。開いたドアの後ろでは、既に大勢の兵士が歓喜の渦に包まれていた。
しかし、運命とは常に気まぐれである
希望を断ち切る直前に
その光が、再び輝きを帯びだ




