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その頃、、兵舎にて(2)

しかし、そんな兵士長の安否が分からなくなった事は、兵舎のみならず、王都中で話題になり、国王もだいぶ手を尽くしている。

後から別の兵士に話を聞くと、どうやら偵察していた盗賊団に発見され、そのまま遠征軍は散り散りに。

山の地形等の知識を持ち合わせていなかった兵士達は、地形を味方につけた盗賊団に手も足も出ず。負傷者も大勢出てしまった。

兵士長は、懸命になって戦い続けたそうだけど、いつまで経っても兵士長が山から降りてくる気配はなく、動ける兵士数名が、この事実を国王に報告。

今、王都にいる兵士も彼を探す為に出向いているものの、成果は芳しくない。

皆の不安と心配は募る一方だが、一部の兵士達は、兵士長の座が次になるのか、賭けにも似た話題で持ちきりになっている。

ただ、そんな不謹慎な話をしている兵士達が罰を受けたのは、言うまでもない。

兵士長は、国王からの信頼も厚かった。だからこそ、兵士長がまだ辛うじて生きている事を信じて、調査を続行しているのだ。

しかし、そろそろ希望や望みが薄れていくのが目に見え、俺達としても、座学や訓練に対するやる気が目減りする一方。


今だってそうだ、夕食時なのに、誰も口を開かない。

兵士長の安否不明の報告を受ける以前は、訓練に対しての愚痴だったり、次の休みの予定等を大笑いしながら話し合っていた。

見回りの兵士に怒られる程賑やかだった筈の夕食時が、何故か嫌になってしまった。皆そそくさと食事を終え、自分達の部屋に戻ってしまう。

誰とも会話もなく、ただ単調な時間だけが過ぎていく。

無駄な労力や時間を省く事は確かに重要だけど、何のメリハリもない日々を過ごす事は、無駄を省くよりも侘しい気がする。

でも、俺自身も話題を出す気分にもなれない。パンを片手に持ちつつ、周りにいる仲間に何か一言でも声をかけようと思っても、なかなか声が出ない。

こうゆう時、兵士長なら構わず話しかけてくれるだろう。

それほど兵士長は、戦闘においても交友関係においても、臆さずに自ら進んでいくような人であった。

あれほどの人材を失うとなれば、ここまで大騒ぎになるのも頷ける。ただ、大騒ぎがどんどん収束すると同時に、絶望感が蔓延していた。

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