その頃、、兵舎にて(2)
ギンにとっては、耳にも入れたくない程
無慈悲な現実
しかし、彼自身も薄々気付いているのだ
希望を断ち切る
『潮時』だと
だが、今から1週間程前、兵士長と共に遠征へ向かった筈の兵士数名が、かなりボロボロになった状態で王都に帰還する。
遠征隊が散り散りになり、遠征隊の指揮を務める兵士長の行方が分からなくなった話を俺が聞いたのは、本当にたまたまだった。
その日俺は、いつものように座学の勉強をする為、王宮にある図書館で仲間と共に勉強に励んでいた。そんな俺達の後ろで、貴族達が騒いでいたのだ。
耳を傾けてみると、どうやら兵士長率いる遠征軍は、俺の生まれ育った里から割と近い場所へと向かい、その辺りを根城としている、割と大きな『盗賊集団』の偵察に向かった。
里が近い事もあって、俺もその遠征について行きたかったけど、私情で遠征に参加させてもらうわけにもいかない上、遠征に向かえるのは、実力と経験を兼ね備える『兵士』じゃないと行けない。
もうそろそろ訓練生卒業試験が近づいているけど、まだ自分は兵士にはなれていない『訓練生』
だから兵士長達が遠征に行っている間、訓練生が遠征に赴いた兵士の分、仕事を補っていた。
まだ兵士として本格的な仕事はできないけど、見回りをするだけでも立派な仕事である事は、兵士長を見ればすぐ自覚できた。
兵士長は、兵士や訓練性のみならず、王都に暮らすあらゆる人間から好かれ、貴族や王族から求婚を申請される事もあるとか。
兵士長に自覚はないけど、確かにイケメンである。しかもそれだけではなく、長年積み重ねたキャリアや実績は紛い物なんかじゃない。
まさに『努力の象徴』でもある人物だ。兵士長の背中を追いかけ、俺達も必死になって努力していた。




