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その頃、、兵舎にて(1)

そんな俺を救ってくれたのは、兵士長。

偏見に塗れた目線に晒され、怯えていた俺の肩に優しく手を乗せ、俺を貶んだ兵士に喝を入れた。


「人種だけで差別する様な人間は、王都を守る兵士としての自覚が欠片もないぞ!!

 此処は多くの国から来訪する貴族や王族も多い。お前達は彼らを相手にしても、そんな軽口が叩けるの

 か?!

 国籍だけではない、この世界には、数多の人種や種族が共存している事は、訓練兵を卒業したお前達な

 ら、しっかり周知していると思っていたが・・・。」


「へっ兵士長!!! 

 これは・・・その・・・だって・・・」


「だって・・・ソイツは『人獣』・・・」


「お前達の幼稚な言い訳は聞きたくもない!!!

 それでもお前は、この王都を守る兵士としての自覚があるのか?!!

 ・・・いや、お前達はそもそも、『兵士』としてではなく、『人間』としてもくだらない。

 そうやってお前達が己の偏見や価値観を振り回す事で、同じ人間である私達が影響を受ける事を、お前

 達は考えた事があるのか?!

 お前達が勝手な行動を取る事で、我々人間が、『高慢で他種族を認めない存在』として認知される事に

 なるんだぞ!!


「・・・・・」


「お前達比べ、彼の機然とした凛々しき態度は、お前達のような考えの甘い人間とは雲泥の差がある事に

 も気づかないのか!!

 彼はずっと、お前達の勝手な考えに晒されても尚、君達に悪い顔一つ見せず、自分を保ち続けている。

 相手に流されず、自分の意思を貫く事は、戦闘においても最も重要であり、勝敗を分ける重要な心構え

 である事を、お前達はとっくに忘れているようだな。

 お前達はこの『訓練兵』にも劣っている事を、明日私が直々に教え込む!!!」


その言葉に、何も言い返す事ができない兵士達。俺はただ、恥ずかしさと嬉しさで、数年ぶりに涙を流した。

それから兵士長は、何かと俺に世話を焼いてくれた。特には訓練に付き合ってもらったり、レストランで共に食事を楽しむ事もあった。

当初は不安だらけな生活ではあったけど、いつの間にか訓練兵としての生活にも慣れ、近々最も難関とされる訓練の一つ、『遠征』に向かう。

兵士長のおかげで、俺の人生が救われたと言っても過言ではない。だからこそ、俺はその恩を返す為に、座学も訓練も本気で努力した。

試験が近い日には寝ずに勉強と訓練に明け暮れ、兵舎周りの整備にも一役買った。

おかげで王都の人間達から変な目で見られる事もほぼなくなり、今では王都の友人もできた。

当初の自分では想像できない程、多くの人間と関わる事になって、最初はだいぶ焦ったけど、やっぱり何事も長く続けてみないと分からないものだ。


どんな種族でも平等に扱い

守る意思だけは揺るがない

 

兵士長は 誰からも慕われて当然の人物だった

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