第一章 転生へ至るまで
「神様から憐れまれるって、一種の『才能』なのかもね」
「えーっと・・・
名前は・・・節美 紺さん、13歳
父親は平凡なサラリーマン、母はレストランのパート従業員。兄弟姉妹もいない、ペットも飼っていな
い。平凡中の平凡な家庭に生まれた。
成績は普通、運動神経も普通。小学1年生から死亡する2日前まで通っていた学習塾でも平均点並。
学校と塾を合わせ、友人と呼べる人間は・・・無いに等しい。
幼稚園生時代は、いつもいじめっ子から毎日毎日泣かされていた。
小学生時代は、クラスメイトの一人から執拗にいじめられていた。
そして中学生にまで成長すると、ついに初恋を経験。
しかし、小学生時代から執拗に貴女をいじめていたクラスメイトが根回しをした結果、貴女が初恋に落
ちた男子生徒は他の友人達から散々冷やかしを受ける。
これに逆上した男子生徒は、あろう事か、怒りの矛先を貴女に向けて、貴女は帰宅途中に橋の上から突
き落とされ、水死・・・
親や先生も『いじめ』の事実は周知していたが、誰一人として助けるものはいなかった。
貴女自信が先生にいじめを告発した事もあったが、相手にされた事はほぼ無いに等しい。友人も時折い
たのだが、すぐに離れていった。
両親にいじめの苦痛を訴えても、学校側に丸投げされる始末。
・・・・・・・・・・」
「ひどいでしょ?
私の人生。」
狐の仮面をつけた巫女さんは、透明な『タブレット』を見ながら固まっていた。もうその顔だけで言いたい事は分かってしまう。
でも口に出したくない気持ちも分かる、人間に対して「酷い人生ですね」と軽々しく言える『神様』というのも、面目丸潰れな気がする。
だってこの状況、私の目の前にいる相手は『神様』としか思えない。
真っ白な空間には私と巫女さんだけ、此処が部屋なのか屋外なのかも分からず、湿度も気温もない。
目の前には真っ白なちゃぶ台と透明なタブレット。しかもこのタブレット、絶対市販されている物ではない。
まるでガラスやプラスチックの様に、自分の手元が透けて見えるタブレットなんて、聞いた事も見た事もない。
大手『林檎』の会社でも技術が追いついていないレベル。
こんな状況にポンと置かれた私だけど、此処に来た理由も分かっている。
突然苦しい『水の中』からこんな場所に放り出されたら、もう考えは一つしかない。
そう、私の人生は
僅か13歳で幕を下ろした