第十六章 目覚めの後悔
あの時は生死を問う緊迫した状況な上、できるのかどうかもあやふやではあったけど、私は勝手に〈ノリト〉を他者に対して使ってしまったのだ。
別に「他者に対して使ってはならない」とは言われてないけど、〈MP〉を切らしてその場でぶっ倒れたのは、完全に私の責任。
その後、私がどうやって家まで戻って来たのかは、何となく察する事ができる。父があの広大な森から私を見つけ出し、里まで運んでくれたのだ。
それだけでも十分申し訳ないのに、私は勝手な推測で〈ノリト〉を編み出してしまった。まだ私の右手には、その時の感覚が残っている。
〈ノリト〉がシルフォ一族にしか伝えられていないのを良い事に、〈ノリト〉を乱用してしまったのは、確かな事実。
〈ノリト〉を使うタイミングや使う対象に関しては何も教えられていないけど、結果的に私まで意識を失ってしまっては、元も子もない。
父が助けてくれなければ、最悪あのまま二人で野垂れ死んでいた。
彼を助ける事ばかり考えて、その後の事を全く考えてなかったなんて、我ながら馬鹿すぎる・・・
うぅ・・・、こればっかりは雷を喰らっても仕方ないようなぁ・・・。
母まで心配させてしまったんだから、それくらいしてもらわないと逆に申し訳なくて・・・
「色々と言いたい事はあるが・・・
コンは、『彼』を助けたかったんだよな。」
「えっ・・・」
「あの時、お前と一緒に倒れていた、あの男だ。
「コンの側に落ちていた包帯や薬には、一切手がつけられていなかった。
つまり、彼が負った傷は、包帯や薬では対処できない程、重症だった・・・という事だな。」




