その頃、転生の間にて
二人は顔を見合わせた。それもそうだ、新たな〈ノリト〉を編み出せるのは、よほどの才能がある者のみ。
彼女の一家が受け継いでいるのは、〈凍てつく矢〉しかないのだ。彼女の両親が唖然とするのも当然。
新たな術を生み出せば、当然〈MP〉も大量に使う。一気に彼女の〈MP〉は0になってしまったのだ。
巫女神様は、空間に新たな画面を生み出し、歴代に〈ノリト〉を編み出したシルフォの一族の一覧を見ると、既にコンもその一員に加わっている。
「あの子もやるなぁー」と言いながら、今度はちゃぶ台の上に熱いお茶を生み出す巫女神様。
自然と巫女神様の顔がにやけてしまうのも不思議ではない。
新たな〈ノリト〉を構築できたのは数百年ぶりである上、構築した年齢に関しては最年少である。
まさか巫女神様もここまでコンに才能があるとは、夢にも思わなかったであろう。
匙をクルクルと手で回しながら、スヤスヤとベッドで寝入っているコンを眺めていた。それでもまだ、彼女の両親はソワソワしている様子。
「まぁ、あの子が目覚めるのは少なく見積もっても4日後くらいかなぁ・・・」
そんな独り言を呟く彼女の前に、突然新たな画面が浮かび上がる・・・が、それはどうやら『メッセージ』のようだ。
だが、その差出人の名前も、メッセージの内容も、人間には読み取れない、文章とも絵とも言えないナニかが連なっていた。
恐らくコレは、『仲間内』だけで通用する文字であろう。その文字に規則性はなく、巫女神様はそのメッセージに目を通していた。
「・・・・・
・・・ん?」
スラスラとメッセージを読んでいた巫女神様の目が、突然止まってしまう。そしてその直後に、彼女は咥えていた匙を卓上に落とした。
彼女の才能が芽を開いた頃
彼女の生きる世界でも、『大きな災い』が芽吹いていた




