その頃、転生の間にて
「・・・コン・・
・・・コン!!! 大丈夫か?!!」
画面が動いたのは、彼女が倒れてから数時間後の事。コンの父親が崖から滑り落ち、そのまま二人を抱えて里へと戻る。
娘のコンは腕に抱え、青年は両手を両肩に回し、手首をベルトで固定。つまりコンの父は、首だけで青年を引き摺っていた。
聞くだけでも苦しくなる体制だが、二人同時に運ぶには、これしか方法がない事を、コンの父はいち早く理解したのだ。
いつまで経っても帰ってこない娘を心配して、父が山をあちこち探し回った結果、娘と見知らぬ青年が共倒れしている光景には、さすがに驚きを隠せない様子。
恐らく、二人を探し当てる事ができたのは、青年の腹部にまだ微かに残っている、乾き切っていない鮮血の臭い。
人獣は、体力や視力だけではなく、臭覚も鋭い。僅かに残る青年の血液に反応して、探し当てたのだろう。
コンの父は娘と青年を抱き抱えながら、必死になって里を目指す。その様子を、周りで動物達が見守っていた。
その間も、コンの父は娘の名前を呼び続けていたが、彼女は目を開けない。
首が締まっている状況にも関わらず、彼女の父は娘の安否をずっと心配していたのだ。
まだコンの父は、彼女が『MP切れ』になっている事に気づいていない。
高いところから落ちたか、野生動物に襲われて気絶したのかと、彼女の父は勘違いしている。




