第十三章 悲しき前世の記憶
コンが『人を助ける事』を拒む理由
それは単に、彼女自身の問題ではなく
紺(前世の自分)の『過去』に問題があった
私はふと、前世の記憶を思い出してしまった。
ついさっき、『前世は引き摺らない』と決めたばっかりだけど、つい彼の悲しげな表情を見ていると、前世の思い出が蘇ってしまうのだ。
そう、前世の私がまだ幼かった頃。年はもう覚えていないけど、『あの出来事』だけは、脳裏に焼き付いている。
それくらい私にとってはショックな出来事であった。思えばあの時から、私の両親に情が無いのか、思い知らされたのだ。
祝日だったその日。天気が良かったので、幼い私と母は、近くの公園まで遊びに行った。
きっと母の目的は、公園で談話しているママさん達の輪に入りたかっただけだろう。家に居ても、話す相手がいなかったから。
父も祝日休みだったが、母の相手は決してしない。
休みの日はいつもダラダラと時間を消耗するだけ、水族館にいるアザラシとかトドよりも価値がない生き物だった。
母は公園に入ると、すぐにママ友グループの中に割り込み、私の事はほぼ放置していた。
でも私なりにこんな時間も好きだった、私に構ってくれる人がいるだけでも、私は幸せだと思っていたから。家に居ても、誰も私に構ってくれない。
だから自然と、私は家が嫌いだった。逆に好きだったのは、公園くらい。幼稚園に行っても、ガキ大将にいつも追いかけ回されていたから。
今考えると、それは単なる『ちょっかい』だったのかもしれない。小さい子供にありがちな心境だ。
でも私が何も言い返さず、無反応だった事が逆にガキ大将をヒートアップさせたのかもしれない。
保育園の先生達も、『単なる子供同士の悪ふざけ』程度にしか思っていなかったから、誰も助けてはくれない。
それにあのガキ大将が、注意してすんなりやめるとは思わないし。
自分の両親に訴えたとしても、聞いてくれる可能性はゼロ。まだ幼かった私でも、それくらい頭が回ってしまった。




