第十二章 緊急事態
「・・・う・・・うぅ・・・」
「・・・・・嘘でしょ・・・?!」
私の切実なる願いは、まさに細い枝の如く、ポッキリと折れてしまった。ついつい本音を漏らしてしまったけど、頭の中は大パニック状態。
だって、目の前にいるのは動物ではなく、明らかに『兵士』
兵士なんて初めて見たけど、一眼で分かった。
ゴツゴツとした鎧を身につけ、大きな剣を握りしめているその男性は、ぱっと見で兄よりも年上みたいだ。
しかしその男性は、明らかに深傷を負っている様子。あちこちに鎧の破片が散らばり、男性は必死になって脇腹を抑えている。
どうやら、私が近づいている事にも気づけない程疲弊しているみたいだ。抑えている脇腹からは、まだ紅い血が滴っている。
見ているだけでも痛そうな光景。動物にやられたのか、それとも人間同士のいざこざがあったのか、どちらにしても『事故』ではなさそうだ。
だって転んだくらいであんな出血なんてしない。
でも、問題なのはそこではない。いや、確かに今の状況も大問題ではあるけどさ、『私にとっての問題』だけでも手一杯なんです。
私はいつも、万が一に備えて救急用の包帯や薬を持ち合わせている。薬は山から採れる薬草を加工すれば、その場でいくらでも作れるから。
包帯も、いざという時の為、住民達から使わなくなった服を生地に戻して作っている。
山で怪我をするのは、ごくごく自然な事。
だからこそ、用意さえしっかりしていれば、余計な体力も気力も使わないくて済む上、怪我が化膿する心配もない。
怪我が化膿すると、最悪医者に行っても治らない、最悪な末路を辿る事になる・・・というのは、兄からしっかり教わっている。
そもそも兄が私よりも怪我をする頻度が多かったから、この癖はほぼほぼ兄の影響だ。でもまさか、こんん場面で役に立つなんて、思いもよらなかった。
いや、問題はそこじゃない。今もし彼を助けたら・・・
「君は何処に住んでいるんだい?」
「今度、是非お礼をさせて欲しい!!」
「もしよければ、私の家に来てください!!」
なんて、何かと助けた彼が絡んで来る事は目に見えている。単なるゲーム脳なだけかもしれないけど。
・・・いや、『お礼文化』が定着していた、『元・日本人』だからなのかもしれない。今は日本人でもなければ人間でもないんだけど。
どうする?? 治療道具だけ投げ捨てて去る??
それもそれで・・・うーん・・・
「う・・・誰か・・・誰か・・・
助けて・・・
私はこんなところで・・・死ぬわけには・・・」
「・・・・・・・」
戸惑いながら困惑するコン
何故ならこの状況を打開する事ができるのは
彼女ただ一人だけ




