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第十一章 帰ろう

平穏の中に『心配』が混じる

これは、平和ボケしない為の

人間の本能なのかもしれない

「さーてとっ。そろそろ引き上げますかぁ。」


今日も山には異常無し!!

ホグジラ事件以来、動物達も再び活発に動いている。

あの巨体が他の動物達が食べる餌を独り占めしていたから、ずっと動物達はひもじい思いをしていた。

でも今は、私が採る分の野草も果物も有り余っている。私がいつも山に登る時に背負っているカゴの中は、すっかり野草と果物で埋め尽くされていた。

山に入ってからまだ数時間しか経っていないと思うけど、季節の関係もあって、今は春と夏の幸が同時に採れる特別な期間なのだ。

私は重くなったカゴを背負い、里を目指す。目印や道がなくても、この辺りの地形は既に頭の中にインプットされている。

途中で生えていた野草や果物を口にしつつ、後ろからは食べこぼしの欠片を狙う動物達が列を成していた。

私の住んでいる里では、山に住む動物が食用肉として食べられているけど、色々と決め事がある。

それを動物達も自然と理解しているのがまた凄い。別に誰かが教えたわけでもない、むしろ人間が教えて納得してくれるなら誰も苦労しない。

人獣は、外見こそ獣と似ている場所がいくつもあるのだが、動物と話せるのは『魔術師』に位置する人々のみ。

でも私は、実際に魔術師を見た事がない。私の一族は、魔術に似た技が繰り出せるけど、アレを魔術と呼べるかどうかは、正直微妙だな。

あの技は一族の人間なら誰にでも使える。一応兄も使えるけど、極力使わないようにしていた。

「自分の力だけで勝負したい、一族の力に依存してはいけない」と言っていたのを覚えている。確かにホグジラを退治できたのは、私の力というより、一族に伝わる呪文と能力のおかげ。

あの凍てつく一粒アイスアローの力がなかったら、ホグジラに矢は命中しても、絶命には至らず、ただ単にホグジラを苦しめるだけ。

兄が自身の力を高めようとしている気持ち、私には何となく分かる。でも今頃兄は、強くなる以前に、王都での暮らしに慣れる必要がありそうだ。

田舎暮らしの若者が夢を追いかける為に都会へ行く話は、よく前世のドラマや映画でも見る設定だけど、今の兄はまさにそんな物語の主人公。

兄自身、決して性格に難ありではないし、頼りになる兄貴気質である事に変わりはないけど、それが向こうで受け入れられるか、それが若干心配だ。

都会生まれ・都会育ちの人って、田舎者を軽視する傾向にある・・・というのは、もはや私の偏見でしかないけど、ヘマをすれば当然白い目で見られてしまう。

兄はそこまでドジではないから、それほど大きな失態を犯さないとは思うけど。見切り発車な側面もあるし、暴走気味になる事もしばしば・・・


アレ? なんか私、すごい面倒臭くなってる??

なんか一人暮らしを始めた息子を心配する母親みたいになってるけど・・・??

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