序章二幕 荒ぶる怪物に終止符を
兄が追い
妹が射止める
「コン!!! 頼むぞぉ!!!」
「任せて、お兄ちゃん!!!」
遠くの方で兄の声が聞こえる、きっと巨体なホグジラにしがみついているんだ。私は矢を弓に据え、音が聞こえる場所を正確に聞き分ける。
相手は巨体だから、そこまで念を押さないてもいいかもしれないけど、せっかくなら一発で仕留めたい。
そうしないと、またホグジラを探して追い込まなくちゃいけないから、すごく面倒臭い事になる。でも大丈夫、ずっと前から下調べをしていた。
あとは私の矢が、ホグジラの脳天を突き抜ければ、それで全部終わる。
母から教えてもらった『魔術』を矢に込めれば、どんな巨体でも一撃必殺。そして、この状況に最も適した魔術、それは『アイス』
・・・あ、食べ物じゃないからね。『一週目の世界』ではそんな認識だったけど、要するに『氷』っている事。
矢の大きさより、あのホグジラの方が何倍も何十倍も大きい。これでは矢を一本突き立てたところで微々たる怪我に過ぎない。
でも、氷によって威力や範囲をかさ増ししてしまえばどうだろう。一本の矢が、大砲レベルの威力を発揮する。
「麗しきこの森を守りし精霊よ 恵溢れるこの森を守りし神々よ
生きとし生きるモノには成し得ない その凛々しくも優美な力を
今一つ 私の矢先に込め賜る」
・・・あぁ、コレ?
これは、一族に伝わる『呪文』です。正直最初の頃は言うのが恥ずかしかったけど、コレ言わないと技が発動しないんだもん。