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第七章 転機

・・・えーっと、話を戻そう。

里に戻った2人の状態は、父の方が重かった。

父はボーンドラゴンの追撃を受けながらも、必死に兄を抱え、里までずっと全力疾走で走っていたのだという。

兄は幸い、擦り傷がいくつかできた程度で済んだが、兄の心には、大きな傷が残る結果となってしまう。

父が家で寝込んでいる間、ずっと兄は父の前で謝り続けていた。あんなに小さくなった兄の背中を見るのは、私でも辛かった。

でも父は、兄を責めるような言葉はかけず、いつも通りの明るい笑顔で、「お父さんだって強いんだぞ!!」と言っていた。

確かに父は強い、一体何処でそんな強さを手に入れたのか、成長した今も聞き出したい気持ちが山々だけど、いつもはぐらかされて聞けず終い。

でも私より、兄の方が色々と聞き出したい筈。

何故なら兄は父の強さを目の前にして、自分がどれだけ無力なのか、どれだけ弱いのか、それをヒシヒシと痛感したんだとか。

前世に読んだ漫画で、「自分よりも強い相手を見ると、途端に自分が小さく無力に見える」というセリフがあったけど、あの衝撃は兄にとっては計り知れない程だったのかもしれない。

だからこそ、兄は決心したのだ。この里から遠く離れた王都へ行き、改めて『真の強さ』を理解して、自分を鍛え上げる事を。

この里から王都まで、片道だけでも数日を費やさないといけない。その途中で危機に遭遇する危険性も大いにあり得る。

でも兄は、決して自分の意思を曲げようとはしなかった。兄はこの日の為に、色々と準備を整えていたのだ。

都市に行く為の資金も、父の仕事を手伝いながらコツコツ貯めて、道中襲われないように、日々のトレーニングを欠かした事はない。

また、体調管理も自分でしっかりと整え、時々里に来る旅人から、王都や経路についての情報を仕入れていた。

その態度を見た両親は、王都への修行を許可してくれた。その代わり、『修行が終わったら、必ず里に帰って来る』事を条件に加えて。

ボーンドラゴンの時もそうだったけど、里の近くで突然凶暴なモンスターが現れた際、立ち向かえる人間が一人もいない・・・というのは、かなり致命的だ。

数の暴力でゴリ押せる可能性も無いわけではないけど、それではリスクが大きすぎる。

例え相手モンスターをその方法で撃退させたとしても、損害は計り知れない。

里の働き手が全員深傷を負ってしまっては、里全体の維持がままならない状況になる事だって考えられる。

だからこそ、腕のある住民が一人いるだけでも、安心感は違う。兄はその役に、自ら名乗りをあげたのだ。

それに、今まで里の近くに迷い込んだモンスターを退治するのは父の役目であったけど、父だっていつ体を壊すのか分からない。

長男である兄がもういい歳になっているわけだから、父の体を考えた上で、兄は決心していた。

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