第四十九章 作り手
まだまだ冬籠りが続く中でも
日々の中に少しずつ『変化』と『発見』がある
ウルシ君が素材である木を乾燥させて、素材をして吟味している最中、跳ね除けられた木材は、私の『矢』として活躍してもらう。
矢の作り方は至ってシンプル、ただ先端を鋭く鋭利に削ればいいだけ。
矢も木材が一定まで乾かないといけないから、私としても矢の素材が沢山集まって、一石二鳥なのである。
ウルシ君が跳ね除けている木材は、私にはよく見分けがつかないけど、若干ヒビが入っていたり、色がおかしい物、他にも色々と吟味して、選ばれた木材のみ、食器を作る素材になるんだとか。
でも、跳ね除けられた枝でも、暖炉の燃料にしたり、無駄に捨てる事はしない。持って来たからには、しっかり役目を与えるのが拾った側の責任。
ウルシ君が食器を作る傍らで、私も山登り解禁に向けて、着々と準備を進めている。
おかげで家の中が若干賑やかになるけど、もう慣れてしまった。里の家では夜に雑貨を作っているから、夜は必然的に全ての家が騒がしくなる。
ただ、ウルシ君の手際が良すぎて、ついつい自分の手を止めて、ウルシ君の作業をずーっと眺めてしまう。
前世の世界であった『焚き火動画』みたいな感じ。でも映像の焚き火よりも、実際に見る焚き火の方が、不思議と落ち着く。
それにしても、ウルシ君の手際は本当に見てて飽きない。
本人に聞いたのだが、彼は7歳の頃から雑貨を作り始めたらしく、それから毎年欠かさず作り続けた結果、自分でも知らないうちに腕前が上がってしまったそう。
それは、私の山登技術と同じなのかもしれない。私も気づいた時には、山が生活の一部になっていたから。




