その頃、王都にて(8)
ギンを見かねた兵士長が
アン殿下を説得しようと画策するのだが・・・
混乱する俺の肩に手を置き、アン殿下に意見を申し立てたのは、さっきからずっと俺の隣にいてくれた、兵士長だった。
「お言葉ですが、殿下。
今から里へは迎えません。あちらは豪雪地帯、後数ヶ月は待たなければなりません。」
「それでもいいさ、やる事は山程ある。その処理でもしていれば、数ヶ月なんてあっという間だ。」
「しかし、先日起きた『ウジミヤ襲撃』の要因であるモンスターは、未だに把握できておりません。
我々も全力をあげて捜索しましたが、足取りすら掴めない状況・・・」
その話は俺も聞いている、兵舎でもその件で色々と噂が飛び交っていたから。
「兵士の質が落ちている」と嘆く貴族や王族がいる・・・なんて話も耳にしている。
「訓練を経験しない人間が何を言っているんだか・・・」と、逆に俺が嘆きたい。
例え訓練や遠征を何度経験しても、解決に至らない事態だって十分考えられる。
座学で過去に起きた兵士とモンスターの攻防事件を見ても、人間側の勝利と敗北はほぼ半々。
それに、攻防に勝利できたとしても、その後始末をする段階で、また新たな問題が発生する。
兵士としての役目は、今に至るまでズルズルと引きずられている件も多い。
それに合わせて、人間同士のトラブルも対処しなくてはいけない。兵士が万年人手不足に悩んでいるのも、納得できてしまう。
・・・というか、問題を発生させている大多数は、人間が絡んでくる。一方的にモンスターが悪い・・・とも言い切れない事件もある。
それでも対処しなくちゃいけないのが、兵士の役目でもあるんだけど。
そんな境遇を知らず、皮肉を大雨の如く俺達に打ち付ける人間に関しては、『何があっても』関わらない方がいい。
『何があっても』・・・・な。




