その頃、王都にて(7)
「はっ!!!っっっ・・・」
思わず「はぁー??!!」と言いそうになったけど、頑張って堪えた。そして自分の耳を疑った。
しかし、何度思い返しても、アン殿下がついさっき言っていた言葉が、何度も俺の頭の中で再生している状況。
アン殿下の言葉は、しっかり聞き取った。ただその言葉を、何故か理解できないのだ。
そこまで難しい言葉でもない筈なのに、何故か俺自身が、理解しようとしない。何故か必死になって理解を妨害している。
そしてそのまま、何分も静寂の空気が流れ、誰も何も言い出せない状況が続いた。
さっきまで慌ただしくザワザワとしていた家臣が、何故か悲しげな目で俺を見る。俺だって泣きたいよ、今すぐに。
ただ、アン殿下の顔は、既にやる気に溢れている。この状況で、「お断りします」なんて言葉、到底俺には言えそうにない。
断る理由?
そんなの俺にも分からない、ただ俺の中で、アン殿下の発言をどうにかして拒否したい衝動があるだけ。
よくよく考えれば、この話は俺にとって、メリットだらけの話である事もまた事実。でもそのメリットが、俺にはあまりにも大きすぎる。
もしコンとアン殿下が結ばれたら、俺は一気に高貴な地位に立つ事ができる。
高貴な地位を獲得できるのは俺だけではない、花嫁となったコンも含めた俺達家族が、王都で優雅な生活を送る事ができるかもしれない。
挙げ句の果てに、俺達の生まれ故郷の知名度が一気に上がり、里の生活も、一気に豊かになるかもしれない・・・




