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第四章 フシミの里は、今日も平和です
彼女にとっての新たな故郷は
山々の重なる里
「「ただいまぁー!!!」」
「おかえり2人共!! 怪我はないか?!」
里で私達の帰りを待っていてくれたのは、私の父であり、この里の村長。父が家から出てくると、他の村民も一緒になって家を飛び出した。
そしてその直後、私と兄がやっとも思いで持って来たホグジラを見て、全員が唖然としている。
でも多分、皆が唖然としている理由は、ホグジラの大きさに対してではなく、こんな巨大な獲物を無傷で狩った、私達に驚いているんだろう。
それもそうだ、改めて仕留めたホグジラを見ると、私達よりも遥かに大きい。何故こんな獲物を狩れたのか、自分でも不思議だ。
ぶっちゃけホグジラ退治より、此処まで巨大なホグジラを引き摺ってくる方が大変だった。
森にあった蔦でホグジラを縛り付け、必死になって2人で引っ張ったのだ。おかげで蔦を巻いていた腰が痛い。
「俺がついてるんだから、コンに怪我なんてさせないぞ。」
「その代わりお兄ちゃん泥だらけだけどね。」
「・・・あぁ、口の中がまずい・・・」
「捌くのは私達がやってるから、お兄ちゃんは先に湖に行ってくれば?」