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75話 元婚約者と再会しました。



ガタンッ


体が揺れるのを感じてヴィクトリアは目を覚ました。


あれ?私、何していたっけ?

たしか、アルフレッド様と王宮を抜け出して手紙の指示通りに馬車に乗ったのまでは思い出した。

それから、急に眠気が襲ってきてそのまま眠ってしまったのだろう。


「意外と早く目が覚めたな。」


ゆっくりと瞼を開くと私の目の前には思いがけない人物が座っていた。


「ジェフリー……。あなたが何故ここに。」


いつの間にか私の両腕は縄で拘束されていた。

対してジェフリーの方は優雅に足を組んで面白そうに私を見ていた。


そして馬車の中を見回しても一緒に乗ったはずのアルフレッドの姿が見当たらなかった。


「私を誘き出した犯人は貴方だったのね。アルフレッド殿下はどうしたの?」


「フンッ、自分の事より他人の心配か?俺は昔からお前のそういう善人面が気に入らなかったんだよ。」


「あら、そう。別に貴方に気に入られようなんて思っていないから、よかったわ。」


「チッ。」


ジェフリーは忌々しそうに私を睨みつけながら舌打ちした。


「それで、今回の件はすべて貴方の仕業なの?」


「まあ、そうとも言えるが俺は指示されただけだ。」


どうやら質問には答えてもらえるようだ。


「さっきも聞いたけど、アルフレッド殿下はご無事なのよね?…もしかして、マーガレット様を誘拐したのも貴方なの?」


「ああ、そうだ。あの二人は今のところ無事だぜ。まだ使えるらしいからな。それより自分の事は心配じゃないのか?」


事が上手くいっているので余裕があるのか、私の反応を観察するように目を細めて薄気味悪い笑みを浮かべている。


「別に。ああ、でもどこへ向かっているかは気になるわね。…山道を走っているみたいね。」


馬車の窓には布で覆われていて外の様子が見えないが、先ほどからガタガタと舗装されていない道を走っているような振動とわずかに馬車が傾斜しているので山の坂道を登っているのだろうと予想した。


「ご名答。お前にはこれから大役が待っているのだ。きっと泣いて喜ぶぞ。クククッ。」


「あら、貴方の前で泣いて喜ぶようなことは、絶対にないと思いますけど?」


「言っとけ、今に分かるさ。……ああ、どうやら着いたようだな。」


馬車が不意に止まり、外から扉が開かれた。両手を縛られたまま馬車から降ろされると木々に囲まれた大きな広場があった。その広場には黒装束の人達がなにやら地面に大きな魔法陣を描いていた。


「……ジェフリー。貴方、一体何をするつもりなの?」


ヴィクトリアは、そのただならぬ雰囲気に思わず後退った。


「これから『古代竜』を復活させるのさ。……お前を生贄にしてな!」


「なっ!?」


古代竜とは『厄災の竜』とも言われて、この国のどこかに封印されていると聞いていた。しかしそれも伝説のようなものでまさか本当に存在していたなんて信じられない。

そして『厄災の竜』にはもう一つ話があって、封印が解かれると国一つがあっという間に無くなるほどの力を持っていると言われていた。


「ジェフリー!!あなた、自分が何をしようとしているのかわかっているの!?」


古代竜の話はおとぎ話として絵本にもなっているほどだ、この国で知らないものはいない。その恐ろしさもしっかりと人々に受け継がれるようにかなり恐怖心を煽るような描かれ方をしていた。子どもの頃、その絵本を読んで怖くて眠れなくなったのだ。


「わかっているさ。しかし、その古代竜を使役できたら?最高の武器になる!世界を手に入れることさえできるのだ!!」


「そんな簡単に行くわけないじゃない!!」


「クククッ、それが行くんだよ。古代竜が唯一敵わなかった人間がいる。誰だと思う?」


「……知らないわ。」


「冥途の土産に教えてやる。聖女様だよ。聖女の力にはひれ伏すしかなかったと古文書に書かれていたそうだ。運よくクララが聖女として現れてくれた。これを使わない手はないだろう?」


ジェフリーは目をギラつかせて笑う。


「狂っているわ。」


「何とでも言え、クララの栄光の為にお前には犠牲なってもらう。なあに、お前の父親もババアもすぐにお前の元に送ってやるから寂しくはないだろう?」


「貴方っ、お父様達にまで何をする気!?」


「家族みんなで仲良くあの世にいけるのだ。慈悲深いだろ?…さあ、時間が来たようだ。」


私は無理やり魔法陣へと連れてこられた。


「ジェフリー。絶対、後悔するわよ。」


「ハハッ、それはあり得ないな。ほら、さっさと行け。」


押し出すように魔法陣の中へと突き飛ばされた。

魔法陣の周りに立っている黒装束の人達が詠唱を始めるとわずかに魔法陣の文字が光り出した。


私は目を閉じて、拘束されている手を持ち上げ御祖母様(おばあさま)から頂いたネックレスの赤い宝石に祈るようにそっと触れた。




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