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71話 罠だとわかっていても。



「何をしている。」



突然、部屋の扉が開かれて現れたのはアルフレッド王子だった。


「アルフレッド殿下、ど、どうしてこちらに……。」


予期していなかったのかコンデムは慌てたような声を上げる。


「私が質問しているのだが。もう一度聞く、ここで何をしている?」


アルフレッドの声が一段と低くなり明らかに怒気を含んでいた。


「こ、これは、聖女…そう! 聖女襲撃事件の聞き取り調査を行っていまして、この女の態度があまりにも悪かったので少し驚かそうとしただけなのです!」


コンデムは明らかに動揺していて、いかにも胡散臭かった。いつの間にかヴィクトリアを押さえつけていた護衛達の手も外されている。


「聖女襲撃事件の担当は、兄…アレックス団長だと聞いている。お前はアレックス団長からの指示でこんなことをしているのか?」


「そ、それは……。」


「なんだ、はっきり申してみよ!」


「し、指示は受けておりません。しかし、アレックス閣下はご多忙のご様子。そこで私が先に聞き取り調査を行いその結果を閣下にお話しするつもりでした!!」


アレクの指示ではなかったのか、ほっと安心するとともに怒りが湧いてくる。


「では、お前の単独でこんなことを行ったのだな。」


「は、はい……。」


「わかった。もう、よい。下がれ。……このことはアレックス団長にも伝えておく。」


「しかし、私は良かれと思って…。」


「黙れ、担当指揮官でもあるアレックス団長に指示をされたわけでもなく。勝手にこのようなことをしてただで済むと思うな、沙汰は追って言い渡す。お前とその後ろの二人は家で謹慎していろ。以上だ。」


「………。」


三人は項垂れて部屋を出ていった。





「ヴィクトリア嬢、大丈夫でしたか?」


三人が出ていくのを見送ってアルフレッドが心配そうに聞いてきた。


「ええ、大丈夫です。助けて下さり、ありがとうございました。」


「いや、これは偶然だったのだが、何もなくてよかった……。」


そう言うアルフレッドは明らかにか顔色が悪かった。目の下に隈のようなものができている。


「アルフレッド殿下、何かございましたか?」


「……昨夜からマーガレットが行方不明なのだ。」


「っ!! マーガレット様が?」


アルフレッドの言葉に驚くと同時に昨日の騒ぎはこの事だったのかと合点がいった。


「城を隅々まで探させているが未だ見つかっていない。」


彼女がアルフレッドに何も言わずに城を出るなど考えられない。考えられるとするのなら……誘拐された。


「…実は、先ほど俺の部屋の机にいつの間にかこの手紙が置かれていた。」


そう言って、アルフレッド王子は私に手紙を見せた。



『マーガレットを助けたいのならば、このことを誰にも話さず、そして気づかれずにヴィクトリアと共に城を出ろ。』


そしてその文章の下に住所が書かれていた。ここへ来いという事だろう。


「わかっていると思うが、これは誰かが君をおびき寄せる罠だと思う。…なのだが、これしかマーガレットを救う手がかりがないのだ。兄上に相談しようにも、王都の森でスタンピードが発生したため出撃した後だった。」


「スタンピードが!?」


あまりにもタイミングが良すぎる。


「たぶん、マーガレットの失踪と関係があると思う。まるで示し合わせたようなタイミングだ。」


「そうですね…。」


明らかに罠だとわかってはいるが、ここで動かなければマーガレットの身に何か起きるかもしれない。それが心配だ。そして、ここであえて相手の罠にかかることで何か手がかりが掴めるのかもしれない。


「わかりました。行きましょう。」


「っ!! すまない。君を危険な目に合わせるかもしれないのに。……俺にはこれしかマーガレットを救う方法がないのだ。」


「お気になさらないでください。私だって親友のマーガレット様の事が心配ですもの。」


「本当にすまない。そしてありがとう。」


「では、ちゃっちゃと行ってマーガレットを助けましょう!!」


ヴィクトリアはそう言ってアルフレッドを元気づけるように笑った。




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