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55話 国王陛下に会いました



「おもてをあげよ。」


国王陛下のお声により私とアレクは顔を上げた。謁見の間には玉座に陛下が座っていらして、その隣には宰相であるお父様が立っていた。

陛下は漆黒の髪と青い瞳をしていてアレクに面影が少し似ていた。


「アレックス、ヴィクトリア嬢との婚約をしたいというのは真か。」


「はい、私はヴィクトリア嬢以外には結婚は考えられません。是非、許可をいただきたく本日は参りました。」


「ふむ。アレックスはこう言っているがヴィクトリア嬢はどうなのかね?」


「はい、陛下。私もアレックス殿下と結婚しとうございます。……しかし私は一度、婚約破棄された身。それでアレックス殿下の瑕疵になるのなら……。」


「そんなことはない! あれは貴女という婚約者がいながら他の女へうつつを抜かした奴が悪い。ヴィクトリアが気に病むことは一つもない。もし、その事で何か言ってくる者がいるのならば全力で私が貴女を守ろう。」


私が話している途中でいきなりアレクは私の両手を取って真剣な表情で言ってきた。


「ア、アレク様……。」


いやいや!! 打ち合わせと違うっ、急にアレク様どうしちゃったの?

最近、変だったけど今日は特に変!! こんな熱っぽい眼差しで見てくる方だったっけ? 平常心を保つのにも限界が来て顔がだんだん熱くなるのを感じた。


「うぉおほっおん!!!」


お父様の大きな咳払いでアレクも私も我に返って慌てて陛下へ臣下の礼を執った。


「はっはっはっ!!! これはいいものが見れたわ! アレックスがそのように思える女性に会えたのは僥倖というものだ。よし、二人の婚約を認めよう。」


「はっ、ありがたき幸せ。」


「私もお礼申し上げます。」


アレクと一緒に再び頭を下げた。


「時にアレックス。お前は王位の座に未練はないな?」


「全くございません。」


アレクは即答で返す。


「…うむ。では、アレックス・オースティンはヴィクトリア嬢との婚姻を持って王位継承権を外し、メイスフィールド公爵家の次期当主とする。そして、竜を使役したというそなたには新たに竜騎士団の団長としてこの国の守護を命ずる。それに伴い第二騎士団は解体し、新たな人員の構成は第一騎士団のマーカスと協議し決めよ。」


「はっ! 承知致しました。」


なんだか、すごい話になってきたけど、これって後から結婚しませんって言えないんじゃ…。

大丈夫なの? お父様??


こっそりとお父様を見ると、なぜか結婚式でお嫁に行く娘の父親のように感極まった表情をしてハンカチで目頭を押さえている。


アレクの方をチラリと見ると嬉しそうに私の方を見ているし。

何だか、外堀が埋められて行っている感じがするのは気のせいなのだろうか。


まあ、後は今回の件が片付いたら何とかなるでしょう!と私は楽天的に考えることにした。



それから、私達は謁見の間を退室して今日から私が住む部屋へと王宮の廊下を歩いていた。アレクの腕に手を添えて歩くのはなかなか緊張する。


「そうだ。マーガレット嬢も今、王宮(ここ)にすんで王妃教育をしているのだよ。後で会うといい、きっと彼女も喜ぶと思うよ。」


「まあ! そうなのですか、是非、お会いしたいですわ。」


よかった! マーガレット様の事は気になっていたから話ができるのは嬉しい。






それから、談笑しながらアレクとゆっくりと歩いていると聞いたことのある声が廊下に響いた。


「あー! ヴィクトリアさんだ!!」




後ろを振り返ると、そこにはゲームのヒロインであるクララが満面の笑みで私に手を振っていた。




いつも誤字脱字をご報告してくださっている皆様、本当にありがとうございます!

ご指摘いただいたものは確認して随時、直していきます。


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