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9話 一撃姫ってなんですか?



「適当に座っといてくれ。」


通されたサロンに入るとアレクはそう言って出て行った。

サロンの中はソファとテーブルがあるだけで部屋が大きいわりには実に質素なものだった。


少し経つと飲み物を持ってアレクが入ってきた。


「すまない、この屋敷をつい最近買ったばかりでな。まだ使用人とかは雇ってないんだ。一人暮らしが長かったもので不便も感じなかったしな。」


そう言いながら紅茶を差し出す。


「はあ、あの、なんで私がメイスフィールドの娘だとわかったのですか? 失礼ながらお会いしたことがないようにみえるのですが。それと先ほどおっしゃられていた『一撃姫』とは何のことでしょう?」


さっそく、先ほどから疑問に思っていることを聞いた。とくに『一撃姫』という怪しげな単語が気になるのだが。


「はは、俺の方があんたにいろいろ聞きたいのだがな。まあいいさ、そっちからの質問に答えよう。あと俺に対してそんなに畏まらなくていい。えっと、なんでメイスフィールドのご令嬢だと俺が知っているのかって? そりゃあ、あんたが有名なご令嬢だからさ。『輝くような銀色の髪に瞳はブルーダイヤのような輝き、ヴィクトリアが微笑むとまさに天使のようだ』と常日頃からあんたの親父さんが周囲にさんざん話しているぞ。さっき見た時、すぐにわかったよ。」


あのっ! 馬鹿おやじぃ、なんてこっぱずかしいこと言ってくれてんの!!

あまりにも恥ずかしい事実を聞かされて顔が赤くなるのを感じる。


「じゃ、じゃあ! 『一撃姫』とは何ですの?」


この単語も何か嫌な予感がするが聞いてみるしかない。


「ああ。それはだな、あんたが今日やらかしたことでついたやつだ。クレイグのご子息様を一発で仕留めたらしいな。俺も最初聞いたときは、半信半疑だったが、さっきのあんたの立ち回りをみて本当だったと確信したよ。あの大男を投げ飛ばした体術はすごかったな。」


アレクは感心したように言うが、私はそれどころじゃない。まだ半日しかたってないのに騎士団の人にまでアノことが伝わっているなんて!

しかも『一撃姫』なんて名付けられて、もう完全に貴族令嬢として生きる道は無くなったに等しい。

そりゃあ、お父様があんなにお怒りになるのもわかる気がする。



ごめんなさい、お父様。


親不孝な娘をお許しください。




もうなんだかいろいろ申し訳なくて、お父様の言うとおりに修道女になって一生引きこもってもいいかなと思い始めた。




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