共同戦線
「おかしい‥‥」
「何がじゃ?」
僕は決死の覚悟で全てを捨ててゲートを潜ったはずなのに、いつの間にかこの世界の人達に懐柔されている。折角、アリー達が悲しまないように言いたくもない憎まれ口を山ほど叩いたのに、納得が行かなかった。
「一つ聞きたいのけど‥‥リアは表の世界をどう思っているの?」
「ワラワか?表の世界は滅ぼすべき等と答えると思ったか?」
「違うのか?」
「それは馬鹿者の考えじゃ」
「ならリアはどう思うのさ?」
「別れているべきじゃ」
それは僕も同じ考えだった。
「表と裏はよく似ておるだろう?」
「うん、確かに」
「なら、時々は交流を持っても良いと思っている、表裏一体は世の理じゃからな」
「へぇ‥‥」
「じゃが表が潰れたら裏ももたんのは道理じゃ」
その発想には驚いた、幼女のモノとは思えない器の大きさを感じる。
「交流は良いにしても表の世界にモンスターを派遣するのはおかしくないか?」
「何と!ワラワの許可もなくそんな事をしでかしておるのか?」
「表は今とんでもない事になっているぞ」
「ゲートを操作しておるとは聞いておったが‥‥」
リアは苦々しい顔をして言う、本当に幼女なのだろうか。
「僕はゲートを作り出してる奴らを止めに来たんだ」
「それがそなたの救世の仕事ならばワラワは協力するのじゃ」
「え!本当か?」
「ワラワは嘘はつかん」
「おお‥‥」
それは彼女の立場がそれを示していた。だからこそ表の世界にモンスターを派遣した事を知らされ無かったのだろう。
僕らは共同戦線を張る事になった。
「僕にはこっちの世界の伝手もないし知識もないから、そこはリアに頼りたい」
「勿論じゃ」
「それでね‥‥」
僕は全体的な構想を話す。
「流石救世主じゃ!イケメンじゃな!」
「それほどかな」
リアにプランを話したら大絶賛だ。
「そうじゃ、じゃが‥‥少しは血が流れてしまいそうじゃな」
「そうだね」
「表に先に起こったことが裏にはねかえるのは当然じゃな」
彼女は深い話をしているようだ。
「それでね、教えてほしいのだけど」
僕はさっきからどうしても気になっている事を訊いた。
「なんじゃ?」
「リアって生き別れの姉妹とか居ない?」
「居らん、ずっと一人じゃ」
「そうか、不思議だな」
「なにがじゃ?」
「もう一つ訊いていいか?」
「良いぞ」
「リアって本当は歳はいくつなの?」
パン!
リアのビンタは痛かった。




