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新しいメンバー


 その後、町は大いに盛り上がり酒場を中心にして人々のやる気や連携、お互いを思いやる気持ちが広がっていきそれと共に町は急速に発展していった。


 そもそも、このサガンドの町は割と大きな港や魔光石鉱山と風光明媚な観光地として有名だったのだ。東にある秘魔の洞窟が安全になったというのと、横暴な支配者が居なくなり、帝都だけでなく他の国からの旅行者が急激に増えている。


 それに合わせてこの酒場も内装を新しくし、オンボロから生まれ変わった。


「随分きれいになったねマスター」

「ええイジン様のお陰です」


 マスターはニコニコして答えた。あたらしくなったのは内装だけではなく設備も一新され、可愛いらしいバイトも雇って酒場は大繁盛をしている。


「ただ‥‥」

「はい」


 帝都からの冒険者は簡単には戻ってこない。この町が安全になっているので特にクエストが発生していないというのが原因だったが、代わりに商工ギルドから多数、建築職人がやってきて町の発展に奮闘していた。その連絡でこの店に併設されているギルド連絡所も連日賑わっている。


「冒険者が居た方が楽しいような気がする」

「そうですね‥‥私に一つ案がありますが」

「へえ?聞かせてくれないか?」

「はい、実は秘魔の洞窟にはずっと奥にまだモンスターが居るのではないかと」

「なるほど、でも表にでてこない理由というのは?」

「これも都市伝説なのですが、かつてこの町にやってきた勇者パーティーが‥‥」

 

 マスターは、仕事前のコップ磨きをしながら教えてくれた。


 この町が出来たての頃にあの洞窟を掃討しようと勇者パーティーがやってきて最奥の魔人を倒し、魔人が守ってきた秘宝を手にしたらしい。だけど、魔人が死ぬときに放った呪いによって秘魔の洞窟にはそれまでに倒された冒険者の霊が彷徨っているという。


「呪いで彷徨うか‥‥」


 アンデッドを操る系の残留魔法だろうか?無くはないと思うけど、そんなに長く続くとも思えない。


「都市伝説ですが」


 マスターがあっさりと言う。しかし、それが逆に僕の冒険心に火をつける。行って確かめて白黒つけたいという思いが湧いてくるのだ。


「そうだな、それでは帝都の冒険者ギルドに仕事の依頼をだしてみようか」

「はい、では調査依頼をしてみます、依頼料は200金くらいでよろしいですね?」

「そうだね、そんなものだと思う」




 翌週、アモンのパーティーがやってきて酒場併設のギルド連絡所で手続きをしていた。


「お久しぶりです、イジンさん、あの時はお世話になりました」

「ああ、どうも‥‥もしかして秘魔の洞窟の調査に?」

「はい、我々が請けました」


 はっとしてカウンターに居るマスターを振り返ると知らんぷりをしている。


「そうなんだ、ではよろしくお願いします、僕も同行して現地確認をさせていただきますので」

「はい、ではメンバーを紹介します、今回はこの5人で行きます」


 5人?見るとアモン、マサ、アリー、そして見たこともないごついイケメンと、顔を半分隠したイケメンがいる。親しげにアリーと話をしてアリーの肩に手を置いていたりしていた。


「新しい人が居るんだね」

「ええ、アリーの伝手で入った僕らの盾となる重戦士のデリーと、スカウトのマッシュです」


 アリーの伝手ってところで思わず反応しそうになってしまう。


「デリーさんとマッシュさんか、では皆さんよろしくお願いしますね」


 その後、リーダーのアモンと洞窟の詳細について話したが、途中までは前回の経験がある分話は直ぐにおわる。今回は楽勝だ、というアモンの気持ちがこっちにも伝わってきた。


 探索は明日の朝からという事になり、5人は開店前の酒場から出ていった。


「‥‥」


 アリーが2人のイケメンと楽しそうに話しながら店を出ていく後ろ姿が目に焼き付く。アリーは美少女なのでモテるのは当たり前なのだ。いや、美少女なだけではなくとてもやさしくて‥‥それで美少女でそしてやさしいのだ‥‥。


「あの‥‥イジン様?」

「え?」


 いつの間にか隣に来ていたマスターが声をかけてくる。


「5人では依頼料が少なすぎたかもしれませんね」

「‥‥いや、いいんだどうせ‥‥」

「はい?」

「ちょっと出てくる」 


 僕は顔が暗くなっていないか気になって店をでた。


 やることは沢山あったし、今取り組んでいる港拡張プロジェクトの指揮をとらないといけない。

 うつむいている暇なんてないのだ。



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