失敗した日 1
五億年ボタンですが、「みんなのトニオちゃん」という
CG漫画に出てくる話の一つですね。
これはタグにもある通り「五億年ボタンじゃない」ということなので気にしないでください。
走り始めて何日が経った事か。
時間の感覚も遠近感も無く唯虚しかった。
一向に疲れも空腹もやって来ない。
足裏の痛みすらない。
もう自分が前進しているのかすら曖昧だ。
もう走りを止めてもいいんじゃないか?
実際何度も止まった。
後悔してる、今も。
もう十分だと思った。
此処で止まったら今までの時間はなんだったんだ?
あともうちょっとかも知れない。
心の中で囁いた。
大体なんで走ってるんだっけ。もうどうでもいいや。
そんな事を考える暇もない位に走りに集中した。
効率的な走り方を見つけ前進する事だけ考えた。
体が自分の想像通りに動くようになりその内体が自然と動く様になった。
体の軸がぶれなくなるのを感じる。
走るスピードも速くなっている。
能力を最大限に使える様になったとも言える。
赤子から成人に変わるが如く。
それは正しく進歩と言って良いだろう。
まずはここに至るまでの経緯を説明しよう。
あれは俺が魔法に目覚めてから数ヶ月後位の話だ。
ぼくは唯々喜んだ。
誰しもが夢見た魔法。
誰しもが無いとは解っている、だからこそ漫画やアニメの世界に逃げては現実を憎く感じる。
学校や社会という束縛された世界での捌け口の一つ。
其れに強く執着した者はオタクや厨二病と貶されリア充から冷めた目で見られる。
斯くいうリア充共もそんな非現実を求めては結局諦めてしまう。
そんな物を手に入れてしまって喜ばない奴は居ないだろう。
結局俺は、何週間もずっと魔法について調べていた。
(本当は其れ以上の月日が経っている)
此処では属性への適性という様な概念は無いらしく念じればそれだけで事象が起きる様だ。
そして魔法がある日常に段々と慣れてきて、そして不思議に思った。
魔法って一体、何なんだ?
だって可笑しいじゃないか。
無から有を創り物理法則を完全に無視した動きをする。
未知には心魅かれるが同時に脅威でもある。
そこで魔法について詳しく調べる事にした。
まずは火の魔法。
此れはどうやら酸素を必要としない様だ。
地魔法で密閉空間を作り試した時、ずっと燃えていたから間違いない。
では何を元にして燃えているのか?
魔力、と言えば終わる話だがなんか納得いかない。
魔力ってなんだ?
火を起こし、地を動かし、身体能力だって強化できた。
「あぁもう全然分かんねぇ!!」
取り敢えず魔法の練習は毎日しておこう。
魔法を使うと身体から何かが抜けていく感覚があった。
一回、自分の魔力量について知りたくて魔力を使い切ろうとした時はやばかった。
身体から血が抜けていく様に体温が急激に下がり、身体が動かなくなったのだ。
あの時の事はあまり思い出したくない。
そう言えば今日は未だ見てなかったな。
「ステータス」
____
総戦闘力:30
技能:魔法2
____
「おぉ、2上がってる!」
此れが俺のステータスだ。
最初が10だったから強くなっている筈だ。
決して俺、弱すぎるとかそんな事は思っちゃダメだ。
というかステータスが単純化され過ぎていて良く分からん。
何を基準とした30なのか分からん。
こんな全てが分からない世界で一人で生きる不安はあるが其れでも此処で生きていかないといけいない。
「なぁに、数学の問題の方が難しいっての」
まぁ、何とかなるだろう。
総経過時間三年
五億年には未だほど遠い。
しかし1秒は経っていくのだ。
1秒はやがて1分となり、1分は1時間と成る。
塵が積もれば惑星と成る。
まだまだ先は長いぞ
頑張れ井瀬!
魔法の概念をどうやって出すか未だ未定なので案が有ればコメントお願いします。