日常の終わり
初投稿です温かい目で見てください
あぁ、眠い。
「……い…」
速くお家帰りたい。授業速く終わんねぇかな…
「ぉ…ぃせ」
もう煩いな。
「おい!井瀬」
「おぅわ!?なんだ!?」
「うわっ!?お前こそ何だよ……もう放課後だぞ」
「…え?あ、本当だ」
「どうした、お前。彼女にでも振られたか」
「どうしてそうなる。そもそもいねぇよ、そんなもの」
「オォ、ココロノトモヨ」
「なんで片言なのさ?」
「んな事は良いってことよ。本当にお前、大丈夫か?」
「いやさ、最近寝つけねぇんだよ。俺の家の近く、夜中も工事してるだろ、あそこだよ」
一週間前から取り壊しになったコンビニの方向を向きながら俺は言った。
家の家族も大変迷惑している。
「あぁ、そうだったな………うちに来るか?」
「誰が野郎の家に行くかっての、とは今回ばかりは言えねぇわ、流石に」
「嫌なら別に来なくてもいいよ」
「イヤイヤ、嘘だから」
此奴はたまにウザいけど何だかんだ言ってイイ奴なんだよな。俺と俺の愉快な仲間たち、第一号の日村は放課後を悠々と過ごす。
まぁ、友達、此奴だけなんだけどねっ!はぁ……
「なんか落ちつかねぇんだよ、お前がそんなんだとよ、明日にでも地球が滅亡しちまいそうだ」
「その言い草は酷すぎだろ!っつかお前、親は?」
「運良く旅行中さ、しかも今日は金曜、という事でお前」
「………なんだよ」
「今夜は寝かさねぇぞ☆」
「往ね」
「辛辣ううぅぅ」
こうして時はあっという間に過ぎていった。
家に帰りまず顔を洗った。酷い顔だ。これは彼奴が心配するのも納得できる。
仕事に行っている母さんに友達の家に泊まるとメールを送ると速攻で
[あんた、友達いたんだねwww大事にしなよ]
と返って来た。
俺と母さんは2人暮らしだからこんな事言い合えるのだろう。お陰で父が居ない寂しさはそれ程無い。
それは兎も角余計なお世話だ!!そんな事を考えながら俺は遊びに行く準備をした。
____日村の家____
いつも思うけど、此奴の家は結構でかい。
ベージュと黒で統一された高級感のある家で周りの緑がよく映える。庭に植えてある花一つにも気品が感じられる。正に圧巻の一言に限る。
小市民である俺は何時も此処で足踏みしてしまう。
小学校からの付き合いでなかったら
「何時も思うけどお前の家、すげぇよな」
「そうか?そんな事より速く家入れよ」
「あぁ」
まぁ、折角此処まで来たんだ。疲れを取るだけには勿体無い。いつの間にか眠気は吹っ飛んでいった。
____午後7時____
「は?今の絶対当たり判定可笑しいって」
「あー、一度は俺も通った道だわ。これはネクサスの陰謀」
「本気かよ、ネクサス最低だなっと、足引きずってる」
「やっぱ2人でタコ殴り祭りは至高」
今俺たちがやっているのは、ネクサスというゲーム会社の人気狩ゲーム「ディバインハーツリトライ」である。
内容は
超常的な現象、所謂魔法が存在する世界、それらを持つものは神と呼ばれた。
その者達は人と呼ばれながら、神でもあったのだ。人々はその「神」が与える恩恵を糧とし、また「神」はその信仰によって生きてきた。
しかし信仰もいずれ畏敬へと変化していく。
それらを恐れた「神」は新たな敵を作る事にした。
魔界とのゲートを創ったのだ。
其処から500年後の世界が今のゲームの舞台となっている。
ストーリー性を重視しながら戦闘シーンにも力が入っている。正に神作だ。
物語の最後は涙無しには語れない。
日村は初代からこれをやっているらしく、腕前はプロである。
「これでレベル67か、少し上がりにくくなってきたな」
「大体こんなもんさ。そろそろ飯食おうぜ」
そうか、もうそんな時間か…。
「お前、飯の作り置きは?」
「ある訳ないだろ、ということで作ってくださいお願いしますなんでもするから」
土下座しながら日村は俺に言ってきた。
「え?今なんでもするって」
「そんな事より何作るんだ?」
「誤魔化したな、まぁいいや。冷蔵庫の中身は、玉ねぎに牛乳、ベーコンとほうれん草か……パスタはあるか?」
「おう、そこの引き出しに」
「今日はクリームパスタだ」
「よし、来たこれ」
時間が時間だしな、パスタはやっぱり楽で良い
「作ってるから、風呂沸かしてこい」
「あいよ、何時も思うけどお前の方が此処の住人みたいだよな」
「ん?」
「何でもない」
____25分後_____
「出来たぞー、飯の時間だ」
「よっ、待ってました」
それじゃぁ
「「頂きます」」
________
「はぁ、美味かった。何時もお前の料理の出来には惚れ惚れするぜ、女だったら俺がほっとかない」
「お前、俺の母さんみたいな事言うな」
「でも本当にお前、店開けるぜ」
「ありがとよ、じゃ風呂入ってくる」
「そうか、俺は部屋に行ってるから」
背中が妙にむず痒くなった俺は話を切り替え、風呂に向かった。
「何時も思うけどやっぱ風呂もでけぇ」
そこには足を思いっきり伸ばしても大丈夫な位大きい浴槽があった。
今更思うけど日村って金持ちだよな。
それが理由で虐められてたのは皮肉だが……。
日村は何時も運良く出張してるとか旅行とか言ってるけど
両親は一体どうなってるんだ。自分の子供は可愛くないのか?
(あいつも大変だよなぁ)
………
……
そろそろ上がるか。
のぼせそうになった俺はいそいそと風呂から上がった。
「風呂入ったぞ」
「おう」
そこには勉強をしている日村が居た。
(こういう所はちゃんとしてんだよな」
「ん?」
声に出てたか
「何でもない、風呂とっとと入れ」
「おう」
そういうと日村は階段を下りて行った。
暇だな……。
日村が居ない内に部屋でも漁るか。
俺は間違った事をやっていると言う背徳感に襲われながら物色を開始する。
俺たちだってお年頃だしな。
多分今、ゲスい顔してるわ、俺。
最初にベッドの下を調べる。定番だ。
(何処かにエロい本でも隠してる筈だ)
そうしていく内に俺は机の引き出しに手をかけ……。
「ちょっと何してんの!?」
「えっ、お前風呂行った筈じゃ……」
「なーにしてんのさ」
おどけた雰囲気だったのに目はこちらをじっと見ていた。
「えーと、そうだ大人な本を探してたんだ」
「そんな物此処には無いよ!」
「何本気になってんのさ」
「兎に角、部屋の物色は禁止!」
「分かったって」
何で下に行ってた日村は俺の行動に気付いいたんだ…?
_______
____
「それじゃぁ、井瀬もう寝るぞ」
「あぁ、お休み」
「ぐがーー」
「寝るのやっぱ早っ」
こうして俺の1日は過ぎていった。
次の日
「昨日は本気助かった」
「まぁ、良いってことよ」
「また今度来るかもしれん」
あそこら辺はしょっちゅう工事してるからなー
「その時は周回クエまたしような」
「お前、あのゲームやり込み過ぎだって、スキルレベルもランクもカンストだろ」
「一応プロハン名乗ってるからな」
「んじゃ、その時はよろしく、じゃそろそろ行くわ」
「またな」
その言葉に俺は振り返らず、手を振った。
俺は自宅に着くと私物を洗濯機に放り入れ、二階に上がる。
そこからはずっと机を前に電子の世界へと身を放り投げた。
最近の趣味はテンショウというネット型のフリマ通販である。日村に勧められてやったら意外と楽しいのだ、これがまた。
そんなことより今丁度、面白いものを見つけてしまった。
「五億年ボタン」
それは人の夢であると思う。なんとこれは一瞬にして百万という大金をゲット出来るヤベー奴だ。
しかし一度押すと五億年、何も無い空間に閉じ込められるという。
しかしその五億年分の記憶は消されるため実質対価無し。
前に漫画で流行った時にはその事で様々な派閥が生まれた。
押す派や押さない派は勿論のこと、他人に押させる派や連打する派、etc........。
因みに俺は他人に押させる派だ。嗚呼、皆からの罵倒が心地いい。
そんな事を考えながら俺はこの商品を手に入れる事を決意する。
俺は行動派インドアな事で有名なのだ。それに加えてこんな怪しい商品、誰も落札なんてしない。
値段的にも余裕だし、何より話のネタにできる。
そんなこんなで俺は無事、商品を落札した。
「これ、絶対後で後悔する奴だ」
まぁ、これもネットオークションの醍醐味というやつだ。
届くのは日曜の午後5時か
速く届かねぇかなー。
今から思えば此処から可笑しかったんだ。
普段の俺ならこんな馬鹿な判断はしないに決まってる。
そもそもなんで俺はこれを見た瞬間から買う事を前提に考えていたんだ。
まるで運命に導かれたみたいだ。
でもな、こんな強引で御都合主義とも言えない運命があるってんなら、
こんなストーリーを考えた奴、一発ぶん殴らせろ。
不出来な点や誤字,脱字などがあれば教えてください。