8 素敵なツリー
さあ、今日はクリスマスイブ。根っこ広場に集まった動物たちはアライグマの案内でツリーの場所へ向かいます。
アライグマは変な顔です。悔しいやら、誇らしいやらで複雑な心境なんです。みんなでぞろぞろとオンボロ橋に辿り着きました。でもどうやって渡るんでしょう? みんなで渡ったら橋が落ちそうですよね?
心配ありません!
アライグマはトントンと身軽に渡ります。流石に今日は割木を引っこ抜いたりはしませんよ。リスは葛の桁を、コマドリは空を飛んで向こう岸へ渡ります。キツネはゆっくりゆっくり、落ちないように慎重に吊り橋を渡りきりました。
クマはどうしたかと言うと、堂々と川の流れに入って行きました。平気で歩いています。どうやら足が着くようです。そしてその背中にちゃっかりとヘビが!
みんな無事に向こう岸へ辿り着いたのでした。
ツリーの前でみんな口を開けて見上げています。アライグマは自慢顔。
「すご〜い」
キツネは早速子供から貰った金の星が付いた帽子を取り出しました。
「これ、アライグマさんに」
「お、おお。ありがとう」
コマドリが咥えてツリーの天辺に取り付けました。
「キラキラ、綺麗」
みんなうっとりです。が、コマドリは何か足りないと首を傾げました。そう言えば、人間のクリスマスツリーにはもっと色々飾ってあったはずです。アライグマがしていた木の実や花だけでは寂しかったのです。
「これも〜」
リスが集めた木の実を取り出しました。みんなで取ってツリーに飾ります。
「なんか地味」
リスが集めた木の実は茶色い物ばかり。まだ物足りません。
「他に何か持ってない?」
「食べ物しか持って来なかったよー」
ヘビが色鮮やかなキノコを取り出しました。
「これ、毒キノコ!」
なんて事でしょう。ヘビが採って来たキノコはほとんどが毒キノコだったのです。ヘビはしょんぼりしてしまいました。
「でもさ、これも飾ったら?」
キツネが提案しました。赤や黄色、紫色まである鮮やかなキノコはいい飾りになりそうです。
「どれどれ?」
ツリーを褒められてご機嫌なアライグマが、赤いキノコをツリーに括り付けてみました。緑のツリーに赤が映える事!
「悪くないな」
こうしてヘビが持って来た毒キノコは、クリスマスツリーの飾りへと早変わりしたのです。ツリーの飾り付けが無事に終わると、クマが樽を転がして来ました。
「これ、私が作った蜂蜜酒」
みんな大喜びです。更にはコマドリが宙を舞い、逆さ虹のふもと街で覚えて来たクリスマスの歌を歌い出しました。
「♫今日は聖なるクリスマス〜
イブの夜にはサンタが来る
一人ぼっちの人にも、誰かと一緒の人にも
良い子にも悪い子にも〜
嘘だとと思うなら、空を見上げて
大人だって、森の動物達だってプレゼントは欲しいでしょ?
ほら? 聞こえた? 鈴の音
赤鼻トナカイ先頭に、シャンシャンシャンとソリが飛ぶ
無理にはしゃぐ必要はない
豪華なご馳走もいらない
(いるよ!)
ツリーがあってもなくてもいい
(あるさ、でっかいのが!)
でもね、空を見て!
待っていて!
あったかい気持ちを貴方に
美しい星達が語りかけて来る
♫今日は聖なるクリスマス〜
イブの夜にはサンタが来る
怒りん坊の人にも、怖がりな人にも
嘘つきやお人好しにも〜
嘘だと思うなら、空を見上げて
コマドリだって、ヘビだってプレゼントは欲しいはず」
リス君のいたずら大成功ですね!
貴方にも良いクリスマスが訪れますように。
メリークリスマス!