第2話
「さぁ、今日も張り切って行きますか?」
ダンジョン前で、軽くストレッチ。
『毎朝、早いな。討伐数も稼いでるみたいだし、若くして年金生活狙ってるのか?』
まぁまぁダンジョンの入口で警備をしているオッチャンに声を掛けられた。顔馴染みだし、たまには会話位するわな。
「まぁ、そんなとこ。冒険者は、さっさと引退するに限るでしょ?」
手をヒラヒラと振って答えながら、ダンジョンに入る。
まだ早朝と言う事もあって、入口付近は、人も少ない。狩り放題とはいかないまでも、効率よく出来そうだ。
少し離れた場所にいるスライム種に狙いを付けて、素早く近付くと攻撃を加え、素早く離れる。これを繰り返して倒す訳。
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いつも通りにスライム種を10体程討伐して、核を手に入れられたのでダンジョンを出ようとした所で、面倒なヤツらと顔を合わせてしまった。
『よう。相変わらずチマチマやってんな。』
ニヤニヤしながら、僕を囲むのは同年代の冒険者達。
数人規模でパーティーを組み、ダンジョンに潜る人達もいる。
討伐する魔物次第では、複数人の方が効率がいいからね。
「僕には、この方法が合ってるから。」
いつも通りの事なので、大して気にする事もなく出口へ向かおうとしたが
『たまには、俺達と奥へ行こうぜ。なぁ?』
と僕の片手を掴んだ。他のヤツも反対の手首を掴み、他のヤツが僕の背中を押す。
面倒な事になってきた。
周りを見回すが、大人達ですら顔を反らす。ダンジョン内での揉め事は、外よりも面倒だからな。関わりたくないわな。
そのまま引き摺られる様に奥へと向かい、更に奥の階段を下る。
ここは第二層。出る魔物は昆虫種。第一層とは大きく難易度も変わる。
『さぁ、連れてきてやったんだ。狩ろうぜ。』
1人は、言うが早いか遠目に見えていた巨大なカマキリに向かっていった。
先制攻撃を加えると、周りの奴らが代わる代わるに攻撃を加えて、危なげなく討伐した。なかなかの腕前と連携だな。
さすがに僕が、ここでゲームオーバーなんて、コイツらもヤバいから命の危険はないだろう。まぁ、見学させてもらうとするか。
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暫くは奴らの連携を見ながら、早く帰ってマッタリしたいとか考えているだけだったが、何だかおかしい。
魔物との遭遇率が高まってきている。
また、すぐ次の魔物が来た。第二層と言えども他の冒険者がいる筈なので、こんな数の魔物がウヨウヨいるのはおかしい。
でも、奴らはテンションガ上がりきっているのか異変に気づけていないみたいだ。初心者かよ。
「おいっ、スタンピートの予兆だ。出口に向かうぞ。」
僕を引き摺ってきた奴らに叫ぶが聞こえてない様で、新しく現れた魔物へ狙いを定めている。
自然災害扱いだし、自分の命を最優先で構わないってルールが冒険者規則にある。ほっておこう。
僕は1人で出口へ向かう。途中で現れる昆虫種も第一層のスライム種も全無視して、とにかく出口へ向かう。
僕と同じ様に出口へ向かう人達が多いから、僕に向かってくる魔物は少ないんだけどね。
出口まで、あと少しと言うところで、叫び声が後ろから聞こえた。
アイツらだな。
と言う事は…………
後ろをチラッと振り替えると、大量の魔物を引き連れる様に、こちらへ向かってくる奴らがいた。
泣きそうで、必至な顔は、なかなか笑えるわ。




