表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/17

閑話 王妃と元聖女の午後

元聖女と王妃様の他愛ないガールズトークです。

王妃様に関しては「王様の恋愛相談」回を御覧ください。

 閑話休題。




「まあ、ユーリィ様は料理人ギルドに?それは素晴らしいですわね!」

 あるよく晴れた日のこと。

 王宮の一室にて、王女とメイドがお茶会をしていた。否、メイドとはいっても実はメイドではなく、アストレアは隣国の元聖女ではあったのだが。

 しかし、今この場所にてそんなことは関係がない。

 ライメール王国を眺められる、真っ白なバルコニー。そこに机と椅子を置いて、二人は談笑に興じている。


 その話題は互いの好きな人のことや、最近あったなんでもないこと。他愛もない会話ばかりだ。

 今ここにいるのは、二人の少女に過ぎなかった。


「そうなんです、色々あったんですけど、認められて……ユーリィ、喜んでたなあ」

「それは良かったですわ。……その、わたくしも……最近、お料理を始めたので、また教えてほしいと、お伝えしてくださいませ」

「王妃様が……料理ですか?」


 アストレアはちょっと目を見開いた。

 赤毛の王妃は気恥ずかしそうにはにかむ。


「……これは秘密なのですけれど」

「はい」

「陛下が、時々クッキーをくださるのです。可愛い絵を描いたり……わたくしの顔、を描いて下さったクッキーは、もったいなくて食べられませんでしたわ。そうしたら、照れながら手ずから食べさせてくださって」


 わあ。陛下、溺愛してるなあ……。


「……それで、わたくしも何か、お返しがしたくて」

「なるほど、それで料理を……」

「そうなんですの。よろしくて?」

「またユーリィに言ってみますね〜」


 にこにこしながらアストレアは頷いて、可愛いなあ……とライメール王国の王妃を眺めた。

 それにしても……と思う。

 いつも一緒に戦ってはいるけれど、最近見守る事が多い気がする。もう少しこう……火力がほしいな。支えられるだけの力が。

 そんな事をぼんやり思いながら、アストレアは口を開いた。


「……私も、ユーリィに何かしてあげたいなと、思うんですけど……なかなか思いつかないなあって、こういうのって」

「まあ、そうなんですの?」

「もっと、強くなりたくて。……いっそ、最近流行りの魔導銃とかを持った方がいいのかなあ、とか」

「まあ、魔導銃を仕込んだメイドですか?浪漫ですわっ、まるで冒険小説のようですわ!」

「……ふふ」


 目をきらめかせる様は素直で、可愛らしい。ああこういう所が王様は好きなのかなあ……と思う。


「……ところで、物は相談なのですけれど」

「はい?」

「もっと強くなりたいのなら、わたくしの所で……魔導銃部隊の鍛錬を一緒にしてみるのはどうかしら?女性ばかりの銃士隊があるんですわ。わたくしも時折混ぜてもらって、鍛錬をしているのです……自衛力をつけたい、貴族のお嬢様方もよくいらしているんですの」

「えっ?」


 アストレアは考えた。

 これからユーリィは多分料理ギルドに入り浸りになる時間が増えるだろう。その間、自分は何をする?


「……内緒で鍛錬したら、ユーリィ、びっくりしてくれるかなあ」

「ええ、きっと!」

「あ、じゃあわたしは……メイドとしてのあれこれをお教えしましょうか、刺繍だとか」

「まあ、本当に?陛下に、ハンカチを縫って差し上げたら喜ぶでしょうか……」

「王妃様がくださるものなら、なんでも嬉しいんじゃないでしょうか〜?」

「そ、そうだとよいのですけれど……。また、ダブルデェト、でもしましょうね、アストレアさま」

「えっ?だ、ダブルデート……?」

「あら、世の中は好きな方を交えて四人で仲良くなったら、そういった親交の儀をするのでしょう?」


 少女たちは、華やかに笑い合いながらお茶をする。


 これは物語の本筋とはあまり関係のない、穏やかで華やかな日々の一幕。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ