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「どうして生まれてきたの?」
「どうしてあんたに流れる血は全部私のものじゃないの?」
「あんたなんか見たくない、早くいなくなって」
怒鳴った数時間後には、母は優しい表情で、怒って悪かったね、と慰めてくれたりすることも多かったです。
「私のことをわかってくれるのは、あんただけなの」
「ねえ、あんたはこの家に染まらないでね」
すがるように声に出した母を、当時の私は困惑しながら眺めるだけだった気がします。
…強く、抱きしめればよかった。
きっと母は、助けて、と言っていたのに。