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少しの間入院した母は、退院後は家に戻ってくることはありませんでした。

私は母に頼まれた母の持ち物を抱えて家と病院を往復。

母が新しい住みかを探しているのも、当然知っていました。


父は母と話し合い離婚を決め(私たち姉妹にも意見を聞いてくれました)、妹たち二人の親権は父に。

成人していた私は道を選べましたが、今まで通り父方に居ることを選択しました。


お母さんっ子だった末の妹は毎日泣きながら病院に来て母を引き留めましたが、母はごめんねと首を横に振り、お父さんっ子の真ん中の妹はただ頷いていました。


私は尋ねられたとき「私は別れるのには賛成だよ。そうしたほうがみんな楽になると思う」と、微笑んで答えていたのを覚えています。


…母は離婚して別の場所に住むようになってから、見違えるように若々しくなりましたし、表情も明るくなって、声の調子まで穏やかになりました。


亡くなる前の数年間は、まるで母親のようでした。

一度泊まったときにはちょっとデンジャラスなこともまあ…ありましたが(笑)

訪ねていった私に手料理をご馳走してくれたり、一緒にDVDを観たり、カフェに行ったり。

春にはお花見もして、楽しくあったかい記憶が、少しずつ私の中に灯っていきました。


妹たちも私も、母との楽しい時間を大切にしていて。


…最後に母と会った日には、一緒にスーパーで食材を買ってから母の家に行って、お昼を食べていたら末の妹もサプライズで訪れて…

たくさん笑って過ごした帰りぎわ、母は末の妹をぎゅーっと抱きしめると、私に向かって手を伸ばしました。


ふわりと抱きしめられて…ふふ、いい年ながら、嬉しかったです。


コンビニに寄ってから、そのまま家まで車で送ってくれて。

ずっと手を振り続ける末の妹のちょっと後ろから、私も小さく手を振りました。


「またね」


何気ないその挨拶が、永遠のお別れになるとは知らずに。

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