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母はその少し後に倒れて昏睡し、私と父は救急車に同乗して、病院に向かいました。
幸いにも母は大事なく、二日後にはしっかり立てるようになります。
母が目を覚ますまでそばにいた私に、目を覚ました母は、一言「死んじゃえればよかったのに」と言って。
ああ、この言葉は母の深い苦しみで…
そして、私への罰だろうな、と、静かに思っていました。
…母が目を覚ますまで、交代でついていた父は、家への帰りぎわに、私に呟きます。
「…俺は、正直もう、愛情はないんだよ」
母についてそう語った父を見て、私は「人間の愛情や絆なんてものはすぐに壊れるもの」と認識したような気がします。
私にとっての父は、その日に少し、遠くなりました。
…今思うと、いちばん葛藤していたのは、父だったかもしれない。
私や妹たちを気遣いながら、母に接して…
…だけど、この後も私と父には色々あって。
私にとって父は、幼いころ母に放置されていた私を世話してくれた恩人で…子煩悩で。いつも穏やかで冷静な敬愛すべき人でありながら、苦しい時に手を伸ばしても決して握り返してはもらえない…
そんな距離の人だと、感じています。
ただ、大切な人であるのは、変わりません。
今もたくさんの優しさを、もらっています。




