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このお話はノンフィクションです。
でも、私が見ている(いた)現実は、私の視点であって、ほんの一部です。
だからこれは、フィクションかもしれません。
はたまた、ノンフィクションかもしれません。
どちらでもいいかな、と思っています。
数年前に、母が他界しました。
母は私の家から電車で二駅ほどのアパートに一人で暮らしていて、とある日に、突然倒れたようです。
どういう風に倒れたかとか、詳しくは判りません。
家の様子から想像するしかありませんでした。
おそらくは、くも膜下出血が原因…とのこと。
何かの巡り合わせだったのか、最初に発見したのは私でした。
驚いたような、笑っているような、苦しみを感じさせない表情で倒れていた母。
苦しんだ時間がわずかであったと、思いたい。
若くして私を生んだので、まだまだ先のある人でした。
生きていてほしかった。
母の好きな桜を想いながら、ちょっと苦笑いです。