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騎士サマ親衛隊隊長な姫君  作者: 萩之まろあ
親衛隊結成後のこと
5/16

修羅場と彼と①

少しばかりボーイズラブな描写があります。苦手な方は、ご注意を。

 無事王城を出て、親衛隊のまり場であるラプネー宅にやって参りました! ラプネーのお父上は腕の良い有名な医者で、彼女はお屋敷みたいな家に住んでいるんだ。二百名もの親衛隊が集まるとなると必然的に広い場所が必要となんだけど、ラプネーは気前よく自宅の一室を提供してくれるから助かっている。

 さて今日は月で一番忙しい日だから、気合を入れないとね。では、突入しましょう!!



「こんにちは、皆様」

「こんにちは! 隊長。もう作業、始めていますよ~」

「遅くなってすいませんね」

「いえいえ。まだ来てない人もいますから」



 凄いな。皆、私に返事をしつつ、手を高速で動かしている。このスピードでも作業が終わらなくて数時間後には切羽詰まった皆の目が血走り、各々の口からは婦女子とは思えない罵詈雑言が飛び出すようになるのだ。

 おっと、こうしている場合じゃないよ、ぼさっとしていないで私も担当の記事を仕上げなければ。ということでテーブルの席に着き、自分の作業を始める。それは……『月刊 イヴァン様』という月刊誌の原稿執筆だ。ちなみに私の書いている記事は『イヴァン様にインタビュー☆ ~貴方様のお好きな物を教えて下さい!~』である。

 ただの月刊誌と侮るなかれ、この『月刊 イヴァン様』は発売日に臨時で立てる露店において瞬殺完売の商品だ。イヴァン様のことなら一早く何でも知りたい町の女性達が、何時間でも並んで手に入れたがる物なのだった。そして、この月刊誌は親衛隊を運営するに当たっての貴重な収入源となっている。親衛隊を維持するには細々とした出費があるのです。あっ、決してイヴァン様を売っているわけじゃありませんことよ。「イヴァン様のことを知りたい! でも私には手の届かない御方だから……。ぐすん」、そんな女性達の夢を叶える為に私達は『月刊 イヴァン様』を立ち上げたのです。



「んん~、違うな、こんな文章ではイヴァン様の神々しさは読者に伝わらない……。何か、何かが足りないのよ…………。んんんんん~。……よし、完成! 最後に『※イヴァン様のご意思を無視した軽はずみな贈り物は、ご遠慮下さい※』という言葉を忘れずに記載してっと。

 ミカ編集長。原稿、上がりました~」



「おお! いつもながら早いですね、エリザ隊長。どれどれ、……。ふ~む、完璧な仕上がりです! これならば問題無いでしょう」

「では、私は他の皆様の手伝いをしますね」

「お願いします」



 編集長の許可が出たので、私は肩の力を抜いた。

 それにしても流石だ、ミカ編集長。鋭い眼光で私の長文を一瞬で確認して見せたよ。ミカは普段大人しい性格なのに、原稿がらみだと人が変わったようになるんだよね。彼女の格好も私の変装に負けず劣らずで、伸ばしっぱなしの黒の長髪に眼鏡、地味な服装という三点セットだけど。

 …………ふふふふふ。あ~。懐かしいな~、ミカと初めて会った時のことが。あれは親衛隊を立ち上げたばかりの頃だったなぁ。ミカを中心にした数名のグループの隠れ家に、私やラプネー達で乗り込んでいったんだよね………………。



『そこまでだ! 我々はイヴァン様親衛隊である!! お前達がイヴァン様をヒロインにした、いかがわしい同人誌を書き、しかも高額で取引きしたことは分かっている! 大人しく投降せよ!!』

『何なの、貴方達! しっ、知らないわ! そんなこと!!』

『では、その後ろに隠した紙は何だ!! …………イヴァン様の×××××シーンの描写が書いてあるじゃないか! 言い逃れしようとは見苦しいぞ!』


『っ許してぇ、私達もイヴァン様が好きなのよぉぉー!』



 そこで、自分達の書いた原稿を守るように抱き締めながら泣き崩れるミカ達。



『まあまあ、ラプネー。彼女達も、これが悪いことだとは分かっていたようだし』

『隊長は甘すぎです。この本を見たイヴァン様が、どれほど御心を痛めたことか!』


ラプネーの言葉は尤もだったが、私は言った。

『でもイヴァン様は彼女達の涙が枯れることまでは、お望みではないはずよ。

 ミカさん、私は貴女達の本を読んだわ。それで「この才能を殺すのは惜しい」と思ったの。だからね、貴女達の力が活かせる、日の当たるところで働かない?』

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